Article Title
目白押し、今週の注目イベント
梅澤 利文
2019/10/28

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

今週は重要イベントが目白押しです。経済では欧米でGDP(国内総生産)などが公表されます。また、FOMCでは今後の金融政策の方針が注目されます。政治では、10月末の離脱期限を前に、英国の合意なき離脱のリスクは低下しましたが、今後の動向を占う上で今週の動きに注目しています。中国の四中全会は地味な印象ですが開催されたことに意味があると思われます。



Article Body Text

今週のイベント(10月28日~11月1日):経済、政治の注目イベントが目白押し

今週(2019年10月28日~11月1日)は重要な経済並びに政治イベントが予定されています(図表1参照)。

経済イベントとしては、米国の主要経済指標の公表と、米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されます。一方、政治イベントとしては英国の欧州連合(EU)離脱期限が10月31日に迫っていることと、中国では中央委員会第4回全体会議(四中全会)が注目されます。

 

 

どこに注目すべきか:四中全会、香港問題、EU離脱、FOMC、GDP

今週は重要イベントが目白押しです。経済では欧米でGDP(国内総生産)などが公表されます。また、FOMCでは今後の金融政策の方針が注目されます。政治では、10月末の離脱期限を前に、英国の合意なき離脱のリスクは低下しましたが、今後の動向を占う上で今週の動きに注目しています。中国の四中全会は地味な印象ですが開催されたことに意味があると思われます。

以下、主なイベントのポイントを述べます。まずは中国の四中全会を取り上げます。

中国の意思決定は、5年に1度の共産党大会で基本方針が定められ、毎年の決定は、(共産党の)長老と党幹部の北戴河を受け、秋に三中全会や四中全会など中央委員会総会で党の決定を行います。翌年の全国人民代表大会(全人代:日本の国会に相当)は可決のためという位置づけです。

しかし、中央委員会総会は18年2月以来開催されないという異例の事態となっています。また、今回の四中全会も直前まで日程が公表されず、市場では開催を危ぶむ声が上がっていました。その背景は、推測に過ぎませんが、米中貿易戦争と香港問題などへの対応、つまり習近平体制への不満から開催が見送られていたと見られます。米中協議について部分合意は伝えられるも、中国国内では関税撤廃がゴールという声もあるようです。今回の四中全会は、それでも開催できたことで良しとするのか、それとも不満の声が強いことを確認する場となってしまうのか?香港問題でも現政権の対応に不満が強いと見られる中、動向が注目されます。

英国のEU離脱は、合意無き離脱のリスクは低下したものの、結論は政治家でなく英国民に判断が委ねられそうです。

経済イベントでは、FOMCが注目されます。市場は今回の利下げを織り込んでいます。またFOMCメンバーが政策についての発言を控える期間(ブラックアウト)前のコメントでも利下げ支持が過半と見ています。今回のFOMCでコンセンサスを省みないリスクをとる必然性は乏しいように思えます。

一方で、保険的としている金融政策を今後も続けるかについては見方が分かれるところです。不透明要因は主に2つで、1つ目は米中貿易戦争の動向、2つ目は米国景気です。

米中貿易戦争は水面下の協議で部分合意した模様で改善の兆しは見られます。しかし、本格的な改善なのか依然不透明です。金融当局の認識が問われそうです。

米国景気は堅調な個人消費と、軟調な製造業という2極化が進行しています。ただ、2極化の継続に疑問もあり、個人消費が製造業不振を受け腰折れすることも懸念されます。

FOMCの声明と、米連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長の会見が大いに注目されます。

その点で、今週は注目の経済指標も複数公表されます。例えば7-9月期のGDP(国内総生産)は個人消費の減速などを背景に好調だった4-6月期を下回る成長が予想されています。好調の一時的な反動減なのか、見極めが必要です。


梅澤 利文
ピクテ・ジャパン株式会社
ストラテジスト

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

手数料およびリスクについてはこちら



関連記事


毎月勤労統計に見る日本の賃金動向と金融政策

9月の米雇用統計は堅調、景気後退懸念払しょく

ECB理事会プレビュー、経済指標は利下げを支持

米ISM製造業景況指数と求人件数:まちまちの結果

9月日銀短観、逆風を消化したものの、不安の種も

メキシコ中銀、ハト派的利下げ決定の裏にある不安