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スウェーデンの金融政策から学ぶ
梅澤 利文
2020/07/02

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概要

日本の投資家がスウェーデンに直接投資する機会はあまり無いでしょう。その意味でスウェーデンの金融政策に対する関心は低いと思われます。ただ、スウェーデン中銀は他の国に比べマイナス金利(再)導入の条件は整っていると思われるため、導入の是非が注目されましたが、結局マイナス金利政策を今回見送りました。



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スウェーデン中央銀行:市場予想通り政策金利を据え置き、マイナス金利には戻らず

スウェーデン中央銀行は、2020年7月1日に政策金利を市場予想通り0%に据え置くと発表しました(図表1参照)。

また、新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響を緩和するため、資産購入枠を従来の3000億クローナから5000億クローナ(536億3000万ドル)に拡大、買入れ期間も21年6月末までに延長しました(図表2参照)。

 

 

どこに注目すべきか:社債購入、マイナス金利政策、クローナ

日本の投資家がスウェーデンに直接投資する機会はあまり無いでしょう。その意味でスウェーデンの金融政策に対する関心は低いと思われます。ただ、スウェーデン中銀は他の国に比べマイナス金利(再)導入の条件は整っていると思われるため、導入の是非が注目されましたが、結局マイナス金利政策を今回見送りました。

まず、今回のスウェーデン中銀の金融政策を簡単に振り返ります。市場の評価は、為替市場が落ち着いていたことを考慮すればトータルで中立的と判断したと見られます。

ただ、内容を見ると、スウェーデン中銀は量的金融緩和を通じて市場の予想以上に金融緩和姿勢を示しました。例えば、資産買入れ額規模の5000億クローナは市場予想の範囲(4000~5000億クローナ)の上限です。また、これまで資産購入は国債、住宅ローン担保証券、コマーシャルペーパー(CP)、地方債に限っていましたが、9月からは社債を購入対象とすることも表明しています。

スウェーデン中銀の金融政策レポートを見ると、23年までゼロ金利政策を続ける予想が示されています。米連邦準備制度理事会(FRB)が22年末までゼロ金利政策を示唆しているのに比べても金融緩和に積極的な印象です。

しかし、一方で政策金利については、効果的であると考えられればレポ金利を引き下げることも可能と説明するも、マイナス金利の導入は見送られ、緩和姿勢が中和されました。

次に、スウェーデン中銀が相対的にマイナス金利導入への距離が近い理由を挙げると、一番の理由はスウェーデン中銀が前回の会合で利下げ(過去にマイナス金利を運営しているので再導入)の可能性に言及したからです。また、過去にマイナス金利を導入していることから、全くの新規に比べ抵抗感は少ないと思われます。さらに、スウェーデンはキャッシュレスがもっとも進んだ国のひとつであることも、マイナス金利導入に有利な環境である可能性も考えられます。

しかし、そのようなスウェーデンであってもマイナス金利導入には、少なくとも現在の局面では優先順位が低いように思われます。新型コロナの感染拡大に伴う経済危機では銀行を通じた流動性供給がまずは必要だからです。マイナス金利の導入は、あるとしたら需要政策や、現在は比較的落ち着いているクローナの通貨高是正など、これからの対策のひとつの選択肢(使わない場合もある)という位置づけであると思われます。


梅澤 利文
ストラテジスト

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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