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- 2月の東京CPIの内容確認と日銀金融政策の展望
2026年2月の東京都区部消費者物価指数(CPI)は、総合CPI、コアCPI、コアコアCPIいずれも市場予想を上回ったが、エネルギーの下落や食料価格が全体の物価上昇を抑制した。今後はエネルギー補助金の停止や食料価格の反動による物価押し下げ要因が剥落し、足元の物価鈍化傾向は落ち着こう。また、サービス価格の底堅さも物価を支えると見込んでおり、日銀の追加利上げを支持しそうだ。
2月の東京都区部CPIは主にエネルギー価格の下落を背景に鈍化した
総務省が2月27日発表した2月の東京都区部消費者物価指数(CPI)は総合CPIが前年同月比で1.6%上昇と、市場予想の1.4%上昇、前月の1.5%上昇を上回った(図表1参照)。
変動の大きい生鮮食品を除いたCPI(コアCPI)は前年同月比で1.8%上昇と、前月の2.0%からは鈍化したが、市場予想の1.7%上昇は上回った。コアCPIの伸び率が2%を下回ったのは2024年10月以来となる。主な押し下げ要因は昨年末のガソリンの旧暫定税率の廃止などによるエネルギー価格の下落だ。生鮮食品とエネルギーを除いたCPI(コアコアCPI)は2.5%上昇と、市場予想の2.3%上昇、1月の2.4%上昇を上回った。
東京CPIはエネルギーや食糧が足元で物価抑制要因となっているようだ
東京CPIは、全国版のCPIに先駆けて発表され、全国CPIの先行指標として注目されることが多い。2月の東京CPIの内容を振り返りながら日本のインフレ率の今後の動向を占うとともに、日銀の金融政策の先行きを展望する。
まず、図表1でコアCPIとコアコアCPIの動きに注目すると、やや違いがみられる。両指数の違いはコアコアCPIはエネルギー項目を含まないことだ。そこでエネルギー項目と主な構成品目(ガソリンと電気代)を見ると下押し要因であったことは明らかだ(図表2参照)。エネルギーは2月に前年同月比で9.2%下落したが、電気代は8.2%下落、ガソリン代は14.7%下落した。政府の物価対策の効果とみられる。
なお、前月比でみると電気代は2月に12.8%下落した。26年1月から電気・ガス料金の負担軽減策を開始したためだ(都市ガスも2月に10.2%下落した)。一方、ガソリンは段階的に物価対策が進められてきたこともあり、2月は前月比0.8%増で、昨年12月の前月比5.7%下落、1月の4.8%下落と先行していた。筆者も足元のガソリン価格の下げ止まりを肌感覚で感じていたがデータでも裏付けられた。
金融当局が注目するコアCPIが2%を下回った背景の一つはエネルギーが押し下げ要因だった。
次に傾向的な物価鈍化の背景として食料価格の動向があげられる(図表3参照)。食料(含む生鮮食品)は2月に前年同月比で3.8%上昇した。依然高水準ではあるが、昨年の同時期に比べると減速感が見られる。昨年政府が備蓄米を放出したころ、国産米を5キロ3000円台で探すことは困難だったが、最近は以前に比べれば入手が容易となったというのが筆者の実感である。食料価格は単月での変動は想定されるが、この先しばらくは基本的に物価上昇を抑制する要因となりそうだ。
サービス価格が物価を下支えする展開を想定している
エネルギーや食料が今年前半のCPIの押し下げ要因ということは、過去に日銀の見通しで何度も説明されてきたことであり、違和感はない。これからの注目点は政府のエネルギー価格抑制対策や食料の前年比の反動が終わった後の物価水準だろう。筆者は今年前半はインフレ率が1%代後半で推移するとみるが、徐々に2%に回帰する展開を想定している。
その背景として、エネルギー補助金の停止や食料価格の反動による物価押し下げ要因が今後は剥落する可能性があるとみているためだ。
次に、より大切なポイントとしては変動の大きい食糧やエネルギー以外の項目の価格動向が概ねしっかりしていることだ。サービスは2月に前年同月比で1.5%上昇と、前月の1.4%上昇を上回った。公共サービスを除いた、注目度が高い、一般サービスは2.4%上昇と、前月の2.2%上昇を上回った。
日本の賃金は実質ベースでは軟調だが、名目ベースでは底堅い面もある中、人件費を反映しやすいサービス価格は今後も物価の下支え要因となりそうだ。
サービスに含まれる他の品目をみると、宿泊料は2月に前年同月比6.0%上昇した。また、外国パック旅行費も2月は2.2%上昇と、前月の4.9%下落から大幅に改善し、全体の物価水準を押し上げるなど、広がりは限られたが、一部のサービス品目に物価の底堅さが見られた。物価は一旦下落する公算が高いが、年末に向け再び2%を目指す展開が想定される。この場合、日銀は利上げ姿勢を維持すると筆者はみており、4-6月期に1回、10-12月期に再度追加利上げが行われることをメインシナリオとしている。
ただし、リスクとしては、物価の想定以上の下落・上昇の両方を想定する必要があると考えている。想定以上の物価の伸び悩みの背景として、日本の景気回復の遅れなどが考えられる。足元の経済指標の一部から、先行きにやや懸念もみられるためだ。反対に、円安進行などが物価を押し上げる懸念にも注意はしたい。しかし、メインシナリオはあくまで、年末に向けた2%近辺への戻りである。
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