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- 原油価格と産油国の最近の格付け事情
新型コロナウイルスの感染拡大を背景に昨年年初からの数ヵ月、原油価格は大幅に下落しました。財政支援の拡大と原油価格下落を受け産油国をはじめ新興国の多くが格下げされました。しかし、昨年後半から原油価格は足元まで上昇傾向に転じ、足元では格下げされる国は減少しています。格上げは今後の回復を待つ展開のようです。
新興国格付け:産油国には格上げされる国がある一方、格下げも見られる
格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)は2021年8月11日にアジアの産油国であるカザフスタンの外貨建て長期債格付けと、発行体格付け(自国通貨建て、外貨建て共に)をBaa3(BBB-に相当)からBaa2(BBBに相当)へ格上げしました。
S&Pグローバル・レーティング(S&P)は7月16日に中東の産油国クウェートの長期債格付け(自国通貨建て、外貨建て共に)をAA-からA+へ格下げしました(図表1参照)。
どこに注目すべきか:原油価格、産油国、格付け、減産、SWF
新型コロナウイルスの感染拡大を背景に昨年年初からの数ヵ月、原油価格は大幅に下落しました。財政支援の拡大と原油価格下落を受け産油国をはじめ新興国の多くが格下げされました。しかし、昨年後半から原油価格は足元まで上昇傾向(図表2参照)に転じ、足元では格下げされる国は減少しています。格上げは今後の回復を待つ展開のようです。
国の格付けを日々モニターしていると、昨年春に見られた、新型コロナの影響などによる格下げラッシュ(主に新興国)は肝を冷やす出来事でした。その後原油価格が上昇傾向に転じたことで、格下げペースは若干緩やかとなりました。ただ新型コロナの影響が残る中、財務状況の改善には時間も必要です。そのイメージを確認するため、図表1では産油国の多い中東とアフリカに限り、主要格付け会社から格付け変更があった国を20年と21年について年初から8月12日までを対象期間として示しています。
そうした中、冒頭で示したように産油国のカザフスタンが格上げされました。カザフスタンは石油輸出国機構(OPEC)に非加盟ながら主要産油国で構成されるOPECプラスの一員です。地理的には中央アジアとなるため図表1にはありませんが、有力な産油国です。カスピ海北部にあるテンギスとカシャガンの2ヵ所に油田があります。
ムーディーズはカザフスタンを8月11日に格上げしました。同国は原油価格下落時の格下げはありませんでしたが、これまで道のりは平坦だったわけではありません。昨年は油田でクラスターが発生し一時操業が停滞する事態もありました。原油価格上昇でようやく同国の財政が改善しました。
一方、冒頭では別の国として中東の産油国クウェートもご紹介していますが、こちらは先月格下げされました。この2カ国の格付け変更の理由を比べると、ソブリンウェルズファンド(SWF、国富ファンド)の運営に違いが見られます。
クウェートのSWFは短期的な財政運営に資金を配分できるSWFと、石油が枯渇した後の長期的な国家運営のためのSWFが別に運営されています。石油の未来を考えた上でのアイデアです。問題は短期的なSWFが底をつきそうな状況ながら、長期SWFから資金を融通する柔軟さが見られないことです。背景は国民議会と、首長が指名する政府との間に対立が見られるからです。長期SWFから短期的に財政資金へ融通するには議会の承認が求められますが、対立は続いています。
一方、カザフスタンでは、新型コロナで悪化した財政の一部をSWFで補填しましたがクウェートのような問題は起きませんでした。カザフスタンでもSWFは石油枯渇後の長期プロジェクトに充当するのが基本です。ただ事前に定めた原油価格の水準に応じて、配分できる金額を定め、規律を維持しています。
原油価格の今後の動向次第ながら、これまでの上昇は産油国の財政をある程度回復させることは見込まれます。しかし政治動向など注意を払うべき点も多く残されているようです。
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