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豪中銀、市場予想を下回る利上げながら、意外と冷静
梅澤 利文
2022/10/05

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概要

豪中銀は市場予想を下回る利上げ幅にとどめました。インフレを抑制する姿勢に変更はないものの、これまでの急ピッチな利上げから、今後のデータ次第の運営にシフトさせ始めたと見られます。為替市場の反応が落ち着いているのは、豪中銀の政策運営シフトがある程度想定されていたこと、金融政策のシフトに対する市場の反応に柔軟性が表れ始めた可能性が考えられます。




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オーストラリア(豪)準備銀行:市場予想を下回る利上げにとどめる

オーストラリア(豪)準備銀行(中央銀行)は2022年10月4日の理事会で、政策金利を0.25%引き上げて2.6%にすると決定しました。市場では大多数が0.5%の引き上げを予想していたことからサプライズとなりました(図表1参照)。

豪中銀が利上げ幅を0.25%に抑えた背景として、声明文では、政策金利が短期間で大幅に引き上げられたためと説明しています。

どこに注目すべきか:豪中銀、市場予想、CPI見通し、国内要因、賃金

豪中銀は市場予想を下回る政策金利の引き上げにとどめましたが、声明文では、その説明箇所は限られています。インフレ見通しなどには変化がなく、大半は前回(9月)の声明文と同様の内容でした。主な違いとしては、今回の声明文で利上げを小幅にとどめた理由として政策金利が短期間で大幅に引き上げられたためと述べている点です。

市場の反応を見ると、豪国債利回りは比較的素直に低下しました。また、豪先物市場では、理事会前には政策金利の最終的な到達レート(ターミナルレート)を4%前後と見込んでいましたが、理事会後はピークは23年半ばまでに3.6%となっています(図表2参照)。また、豪先物市場に示される政策金利の水準は理事会前は早くピークに達し、23年末に向け緩やかに政策金利が低下する展開を想定していたと見られます。

一方、理事会後は23年前半のピークから末にかけてほぼ横ばいと見られます。この違いは、理事会前は政策金利を中立金利(景気をふかしも冷ましもしない金利)に早く近づけることを意図していた一方、今後はインフレ対応を優先しつつも、データ次第の政策運営スタンスを強めることを反映したのかもしれません。豪消費者物価指数(CPI)は声明文にあるように高水準です(図表3参照)。そのうえ、豪中銀のインフレ見通しは22年が7.75%、23年は4%強、24年で約3%と今回の声明文に示していますが、これは前回の数字と同じで、インフレ懸念が後退したわけではなさそうです。

おそらく、インフレ対応を、政策金利の水準から、引き締めの期間にシフトさせた可能性があるのではと見ています。今回の声明文の数少ない変更点の中に、従来は追加利上げを「数ヵ月継続」としていたのを、今回は「当面の期間」利上げを継続としているからです。

なお、豪中銀が経済見通しの不確実性の背景にグローバル要因を指摘している点は変わりませんが、今回の利上げ幅については豪国内経済のインフレと経済動向を考慮したと述べています。海外要因はともかく、賃金など国内要因については、ある程度、目処が付き始めたのかもしれません。

市場の反応で、やや意外であったのは豪ドル安が今のところ抑えられている点です。豪中銀は利上げこそしていますが、市場予想を下回っています。それでも豪ドル安とならなかった点で、為替市場の金利に対する感応度が低下しているようにも見られます。


梅澤 利文
ピクテ・ジャパン株式会社
ストラテジスト

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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