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- パウエル議長講演に踊る
30日のパウエル議長講演の早ければ12月FOMCでの利上げ幅縮小などの内容は市場では織り込み済みとすれば、講演後の市場の反応がサプライズとも見られます。事前に想定していたほどの引き締め姿勢を示さなかったことなどが市場の反応の背景なのかもしれませんが、当局のインフレ抑制姿勢は継続する見込みで、過度な楽観論には注意が必要と見ています。
パウエル議長の講演:思ったほどタカ派的な内容でなかったことに市場は反応
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2022年11月30日にブルッキングス研究所で講演し、インフレとの闘いのため利上げを継続し、金利をなおしばらくの間、景気抑制的な水準にとどめる必要があると指摘しています。しかし、利上げペースを早ければ12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で減速させる可能性があると発言するなど予想されたほどタカ派(金融引き締めを選好する傾向)姿勢を示さなかったことを市場が注目した可能性もあります。
結果として、市場では米国債利回りの低下や、ドル安が見られました。また、株式市場などのリスク資産が幅広く上昇しました。
どこに注目すべきか:パウエル議長講演、住居費、ADP、求人件数
昨日のパウエル議長の講演を振り返ると、12月のFOMCでの利上げ幅縮小の示唆や、利上げ到達点は9月のFOMCで示された水準(約4.6%)を若干(somewhat)上回る程度と述べたことなどに市場の関心が集まったと見られます。
確かに早ければ12月など、具体的な言葉で金融政策を語った点でハト派(金融緩和を選好する傾向)寄りです。しかしながら、市場では12月FOMCの利上げ幅縮小はすでに相当織り込まれているなど新鮮味があるとは思えません。むしろ、講演前にパウエル議長の発言内容はタカ派だろうという市場の憶測に比べれば、想定通りか、それほど厳しい内容でなかったという点に市場が反応した面があるのかもしれません。
また、市場の反応をサポートする間接的な要因として、同日に発表された、雇用関連の経済指標が一部市場予想を下回ったことも挙げられます。データを見る前に、パウエル議長の講演のポイントをもう1点あげると、サービス価格、特に住居費を除いたサービス価格の動向が重要と指摘していることも重要です。パウエル議長は住居費については来年どこかで下落すると述べ、住居費は時間の問題というトーンでした。一方で、パウエル議長は住居費以外のコアサービス価格の動向は不確実性が高く、今後重視する姿勢を示しました。
なお、講演があった昨日は「たまたま」発表された雇用関連の指標は一部軟調でした。例えば、ADP雇用統計によると、11月の雇用者は前月比12.7万人と市場予想、前月を大幅に下回っています(図表1参照)。注目度が高い米労働省による雇用統計は12月2日に発表予定で結果を待つ必要はありますが、仮に同水準が続くようであれば、労働市場の過熱感に一定の変化と見られそうです。
また、ADP雇用統計で賃金動向を見ても、ピークアウト感が見られます。特に、これまで賃金水準を引き上げていたと見られる離職者(転職者)の賃金水準は、依然高水準ながら既にピークアウトし、足元は低下傾向に転じています。
次に、昨日発表された10月の求人件数(JOLT)も前月を下回りました(図表2参照)。なお、パウエル議長の講演テキストはこれらの指標が発表前に準備されたと見られ偶然内容が重なったにすぎないと思われます。もっとも、雇用市場の活況度を示唆する傾向がある求人件数の減少は朗報ながら、それでも依然高水準であること、前月のように再び増加する可能性もあり、慎重な判断が求められます。
当局は今後もタカ派姿勢を維持すると見られますが、市場は来年の利下げを見込み始めています。この点に対するパウエル議長からのけん制が少なかったことも市場の反応につながった可能性は考えられますが、インフレ抑制は道半ばであり、過度な楽観論には注意が必要と思われます。
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