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- 年末年始の気になる動き:中国、成長目標達成か
中国の2025年12月の製造業・非製造業PMIはともに50を上回ったが内容に問題点も見られた。習近平国家主席は成長率5%前後の目標達成の公算が高いと述べた。2025年の成長は年前半が5%を上回り、年後半は鈍化したと見られる。このようなことから、中国は今年も景気支援策が求められる。中国当局は消費拡大や不動産市場安定化の必要性を認識しており、補助金などで対応を進める構えだ。
中国の昨年12月の製造業、非製造業PMIはともに50を上回った
中国国家統計局が25年12月31日発表した12月の製造業購買担当者景気指数(PMI、政府系)は50.1と、市場予想、11月(ともに49.2)を上回った(図表1参照)。景気拡大・縮小の目安である50を9カ月ぶりに上回った。また、同日に発表された12月の非製造業PMIは50.2と、市場予想の49.6、前月の49.5を上回った。
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は12月31日に、国政助言機関である人民政治協商会議(政協)全国委員会の年次会合で、「成長率は5%前後に達する見通しであり、世界の主要国で引き続き上位に位置している」と述べ、GDP(国内総生産)成長率目標が達成される見込みであることを示唆した。
中国の経済指標は供給主体の回復で需要が軟調なことを示唆
中国の25年7-9月期の年初来実質GDP成長率は5.2%だった。10-12月期のGDP統計は今月19日に発表予定だが、市場では前年同期比で4%半ばの成長が見込まれている。習近平氏が示唆したように5%前後の成長目標は達成される見込みだ。
12月末に発表された中国の12月PMIは50を上回ったが、その内容は数字ほどの回復を示したとは言い難く、PMIはむしろ今後も適切な景気支援策の必要性を示唆したと筆者は見ている。25年の成長目標が達成されたとしても、年前半の成長率が比較的高かったことが主な要因だろう。
12月の製造業PMIは、新規受注、生産、輸出向け新規受注などがいずれも前月を上回るなど前向きな数字は見られた。一方で、押し上げた主な背景には、事業活動指数などの改善が含まれるが、この点について中国国家統計局は、休暇前の在庫積み上げが主な要因である可能性を指摘している。また、構成指数である雇用指数は48.2と前月(48.4)を下回り伸び悩んだ。加えて、規模別のPMIを見ると、大企業PMIは50.8と前月の49.3を上回ったが、中小企業PMIは48.6と、前月の49.1を下回った。回復感は大企業の一部にとどまり、幅広い景気回復とは言い難い。
主にサービス業と建設業で構成される非製造業PMIは50.2と、前月を上回った。主な背景は建設業PMIの急回復で、12月は52.8と、11月の49.6から急回復した。一方で、サービス業PMIは49.7と、前月(49.5)から小幅な改善にとどまった。消費などの回復の鈍さを反映したと見られる。
なお、建設業が改善した背景として、穏やかな天候も要因を中国国家統計局が指摘している。
非製造業PMIの構成指数では、新規受注は47.3、雇用は46.1と、依然50を下回るが、12月は前月を上回った。一方、伸び悩んだ項目として新規輸出や販売価格などが挙げられる。販売価格の伸び悩みは、消費低迷により内需の回復が鈍い中、価格設定に慎重なことが背景と見られる。
今月19日には10-12月期のGDPとともに12月分の小売売上や工業生産が発表される予定だ。市場予想を見ると、工業生産は前年同月比5.0%増と、前月の4.8%増を上回り比較的堅調だが、小売売上高は12月が前年同月比で1.1%増と、軟調だった11月の1.3%を下回ることが見込まれている。
中国経済はPMIデータでも見られたことだが、供給主導の回復で、需要が相対的に鈍いようだ。今月発表される12月データでこの点を確認することとしたい。
具体策の公表はこれからだが、中国当局は経済対策を示し始めた
昨年12月に中国当局は経済政策や方針を相次いで公表した(図表2参照)。具体的な成長目標の数字などは3月5日に開幕が予定されている全国人民代表大会(全人代)を待つ必要はあるが、これまでに公表された経済運営の方針から26年の政策運営を占うと、消費底上げなど需要テコ入れが主役となりそうだ。
12月8日に開催された中央政治局会議では、景気の悪化を食い止める(カウンターシクリカル)な政策運営の方針が示された。中国当局が景気下押し圧力を十分認識していることが示唆されたと見られる。12月末の会合で習近平国家主席は成長目標達成の公算が高いことを示唆したが、同時に25年は「極めて異例の1年」とも述べた。米中貿易摩擦に加え、長引く不動産市況、過剰生産への対応などが念頭にあったのだろう。25年は不動産市場に対し踏み込んだ対応を取らなかったことから特に年後半は再び悪化傾向だった。不動産市場には依然として、対応策が必要なようだ。
12月10~11日に開催された中央経済工作会議は、中央政治局会議と同様に、投資悪化に対する対応策の必要性を示唆した。具体策はこれからだが、不動産市場の安定化や、地方政府の企業に対する未払金の解消を求めることなどが含まれそうだ。
12月30日に国家発展改革委員会は26年に、消費財の買い替え促進策に対する補助金の第1弾として625億元(約1.4兆円規模)を拠出すると公表した。昨年の景気刺激策を継続する構えだ。中国政府は特別国債を発行して資金調達する計画だ。国内需要の拡大が今年も経済対策のカギとなりそうだ。ただし、昨年後半の景気失速の背景は補助金による買い支えが需要の先食いとなり先細りした経緯もあるだけに、政策の効果を高める工夫が求められそうだ。
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