Pictet Story


ジュネーブがスイスの州になるとき Ⅲ

ピクテ家の1人、シャルル・ピクテ・ド・ロシュモンは、ピクテ銀行の経営に直接関わることはありませんでしたが、ジュネーブという都市、そしてスイスの中立性をヨーロッパの大国に承認させた人物として、語り継がれています。




農業から外交へ - ジェントルマン・ファーマー

ピクテ・ド・ロシュモンは、幼少期からカルティニーにある家族の家で田舎生活の基礎を教わっていました。農家言葉を学び、耕作、牧草、刈入れ、ブドウの収穫を覚え、また家畜の世話も覚えました。

故に政治から離れた後に農業に目を向けたのは、彼にとってはほとんど自然なことでした。ただそれは単なる情熱以上のものであり、彼は数年で農学分野の顔を成す人物の一人となります。


ジュネーブのメリノ

1798年に妻と共に75ヘクタール以上広がるランシーの土地を手に入れた彼は、ランブイエから雌のメリノ(羊)を取り寄せました。メリノたちは順応し、ジュネーブの肥沃な土地で順調に数を増やしました。そして当時、今日では「科学的」と呼ばれるであろう方法で(羊の交配、最良の飼料の選別、人工牧草地の設置など)、最も上質な羊毛を手に入れるために品種を改良しました。次に、紡績と織物の職人を養成し、機械を設置し、イギリス人がカシミヤから輸入している有名なインドのものと類似のショールを生産し始めます。こうして、1806年、ジュネーブでは9600頭以上のメリノ羊を数えました。

これと並行して彼は土地を耕し、それまで使用していた鋤を捨て、より現代的な設備を持ち込み、ジュネーブにトウモロコシ栽培を導入しました。地域の多くの農民は、自分たちの働き方を改善すべく彼を模範としました。



ランシーからオデッサへ

1805年、ピクテ・ド・ロシュモンはハンガリーに8万フラン分の羊を売却します。さらに4年後には800頭以上の羊をウクライナに出荷しました。そのとき出荷責任者として長男のシャルル-ルネ(Charles-René)を送り、彼は5年間そこに残り家畜を育てました。オデッサ近郊のその土地は、ナヴォイ・ランシーと名付けられました。ピクテ・ド・ロシュモンは羊を介してヨーロッパ中の重鎮と知り合いました。特に、当時亡命中で、皇帝アレクサンドル1世(Alexandre 1er)の計らいにより新ロシアと呼ばれた土地の総督を務めていたリシュリュー(Richelieu)公爵と定期的に連絡を取っていました。

経済的にも知的にも満足していたピクテは、この田舎生活をそのまま続けることができたでしょう。しかしながら、政治と歴史がこの控えめな農学者を再びその渦に巻き込んでいくのです。


ジュネーブのための外交官

1813年秋。ナポレオン・ボナパルトの軍は、ライプツィヒでロシア、オーストリア、スウェーデン、プロイセンの連合軍に敗れ、その後もフランス軍は至る所で撤退しました。オーストリア軍がスイスを横断し12月にジュネーブを支配すると、ジュネーブ共和国は同月31日に復興しました。しかし、ジュネーブ国民の間にはある感情が広がりました「ジュネーブはもはや1798年以前の状況-大陸の真ん中の小さな独立国-には戻れない。スイス連邦に属さなければならない…。」

この変動の先頭に現われたのが、ピクテ・ド・ロシュモンでした。農学者から政治家に復帰した彼は、早くも1813年12月31日、暫定政府宣言の3人の起草者の一人に名を連ねました。そして1月1日、フランス軍に勝利した君主たちが集まるバーゼルに、ジュネーブ代表として赴くよう任命されたのです。


次回は1814年のパリ会議、そしてウィーン会議における活躍についてご紹介します。



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