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- 歴史的にも相対的にも割安な新興国高配当株式(2023年1月末アップデート)
●新興国高配当株式のPERは引き続き他の株式と比べて低い水準、かつ過去平均を下回る
●過去の実績ではPERの水準が低いほど、その後の株価上昇率が高い傾向
●一段のPER縮小のリスクは比較的小さく、中長期的な投資機会となる可能性もあるとみる
■ 新興国高配当株式の株価収益率(PER)は過去平均を大きく下回る
2023年1月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月前半、中国のゼロコロナ政策終了による経済再開への期待や、低迷する不動産セクターに対する支援策などが追い風となり、上昇しました。月半ばには、米国のインフレ率の伸びが鈍化し、利上げペースが緩和するとの期待も、株価の支援材料となりました。その後も、米国の長期金利低下により、米ハイテク銘柄の株価が反発した流れを受けて、新興国のハイテク銘柄も大きく反発した他、中国の春節休暇中の消費好調が伝えられたことなどもあり、月末にかけても概ね上昇基調が続きました。
こうしたなか、新興国高配当株式のPERは、過去平均(1995年12月末~2023年1月末)を大きく下回っています。新興国高配当株式は、堅調な業績が継続する一方、株式市場では米国のテクノロジーセクターなどの成長株が注目を集めるなかで見過ごされてきたことなどが、PERが低水準となった背景だと考えられます。過去の実績では、新興国高配当株式のPERは、地政学リスクの高まりや金融市場の危機時に大きく低下し、その後株価は上昇する傾向が見られました。
■ 新興国高配当株式のPERは対先進国成長株式でみても過去平均を大きく下回る
新興国高配当株式のPERは先進国成長株式に対する相対PERでみても過去平均を大きく下回っています。
■ PERの水準が低いほど、その後の株価上昇率が高い傾向
新興国高配当株式のPERの水準別にその後の株価騰落率をみると、過去の実績ではPERの水準が低いほど、その後の株価上昇率が高くなっています。2023年1月末の新興国高配当株式のPERは8.1倍です。過去の実績(1995年12月末~2023年1月末)で9倍未満をつけたときには、株価は1年後の平均で37%、3年後で同70%、5年後で同142%上昇しています。
■ 見通し
新興国の株式市場については、1)中国経済再開の動き、2)世界貿易の回復、3)高水準の資源価格、4)米ドルに対して割安な新興国通貨、5)割安な株式のバリュエーションなどが、今後の株価上昇のポイントになるとみています。
今後もウクライナ情勢のいっそうの緊迫化、米国の金融政策動向などが金融市場のボラティリティ(価格変動)を高める要因となることには留意する必要があります。市場全体が大きく調整し、リスク回避の動きが強まる局面では、新興国高配当株式も大きく調整する可能性も考えられます。
ただし、市場の調整局面でも、新興国高配当株式の一段のPER縮小のリスクは比較的小さいとみており、中長期的な投資機会となる可能性も考えられます。
■ 中国経済再開と新興国株式市場
【中国の余剰貯蓄が消費に回る可能性~アジア諸国等が恩恵を受ける】
中国経済の先行きは、消費の拡大による恩恵が期待されることから、好転しています。中国では、ゼロコロナ政策に伴う都市封鎖が解除されたことから、5兆元前後に積み上がった家計の余剰貯蓄が消費にまわる可能性があるとみています。このことは、財(モノ)貿易の増加、観光業の回復、国際商品(コモディティ)需要の拡大等を通じて、広い範囲に影響を及ぼすことが予想されます。中国の経済活動再開の恩恵が期待される国・地域として、韓国、ベトナムなどのアジア諸国等が挙げられます。また、米欧の経済活動再開時のように世界経済にインフレ圧力をもたらす可能性は低いと考えられるということも注目すべきであるとみています。
【中国の経済活動再開に際してインフレ懸念は生じないとみる】
中国の経済活動再開に際してインフレ懸念が生じないとみられる理由は、新型コロナウイルスのパンデミック時に、米国政府などが国民に現金給付を行ったのとは異なって、中国国民には政府からの財政移転が無かったこと、世界的に供給網(サプライチェーン)の混乱が緩和されていること、中国の労働市場において賃金上昇圧力が見られていないことなどであると考えます。
【中国株式の割安感は薄れているが、上値余地は残っているとみる】
中国の経済活動再開は、2023年の重要な投資テーマになると考えます。都市封鎖の解除のスピードと規模は予想を上回り、中国の株式市場(MSCI中国株価指数)が10月末から大幅上昇するきっかけとなりました。その結果、12ヵ月先予想利益ベースの株価収益率(PER)は、2023年1月下旬には約12倍にまで上昇しています。市場の急騰を受け、中国株式の割安感は薄れていますが、上値余地は残っていると考えます。上昇相場の次の局面は、中国企業の利益の伸びによってもたらされると考えます。中国経済の正常化に伴い、企業利益の拡大が見込まれ、中国のGDPの約4%に相当する余剰貯蓄を有する消費者の先送りされた需要が顕在化するとみているためです。
【投資家は新興国企業の利益成長を過小評価している可能性があるとみる】
個人消費の回復は、特に一般消費財・サービス・セクターや不動産セクターに恩恵をもたらすとみられますが、後者については、中国人民銀行による金融支援策も追い風になると思われます。中国企業の利益成長の回復は長年の懸案であり、株式投資家は「失われた10年」を余儀なくされてきました。中国株式(MSCI中国株価指数)の構成企業の利益成長率は2015年後半から概ね横ばいで推移し、米国株式(S&P500種株価指数)の構成企業が実現した増益率と比べると見劣りします。中国経済活動の再開は、トレンドを転換させる可能性があることを踏まえると、新興国企業の利益成長率は過小評価されており、市場予想のほぼ横ばいを大きく上回る可能性もあるとみています。
【欧州の新興国とラテンアメリカ市場等はより割安】
新興国のバリュエーション(投資価値評価)指標は、欧州の新興国とラテンアメリカの株式市場等ではより割安となっています。
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