ここではESG投資とSRI（Socially Responsible Investment）、SDGs（Sustainable Development Goals）について、それぞれの違いと関係を、これまでの内容を踏まえつつ整理していきましょう。

ESG投資とSRI

これまでの内容を踏まえ図表1に、ESG投資、SRI（Socially Responsible Investment）、SDGs（Sustainable Development Goals）それぞれのポイントをまとめました。まずは、ESG投資とSRIの違いと関係について整理していきましょう。

1920年代に始まったと言われるSRIが長らく責任投資の主流を占めてきましたが、2006年に国連のアナン事務総長（当時）が、機関投資家に対し、ESGを投資プロセスに組み入れる「責任投資原則（PRI：Principles for Responsible Investment）」を提唱して以降、ESG投資の考え方が徐々に浸透し始めました。

SRIがネガティブ・スクリーニングから始まり、ポジティブ・スクリーニングへと広がりを見せていったことからもわかるように、SRIとESG投資の基本的な考え方は同じです。しかし、SRIは、宗教的な価値観からの出自のため、特定の投資家のみが行う投資手法と考えられる傾向がありました。

一方、ESGは、私たちの社会全体を取り巻く問題・課題であり、特定の人たちだけでなく、私たち全てに関わる問題です。したがって、ESG投資は全ての投資に適応されるべきであると考えられており、SRI以上に広く浸透することが期待されています。

ESG投資とSDGs

次に、ESG投資とSDGsの違いと関係について整理していきましょう。ESG投資は、投資を通じてESGの課題の解決を促し、それによって投資家は投資機会や投資リターンを獲得することが期待されます。

SDGsとは、2015年に国連が定めた、2016年から2030年までに、あらゆる貧困に終止符を打ち、持続可能でよりよい社会を目指す国際目標です。17の目標と169の小目標で構成されています。SDGsは政府や個人のみならず、民間企業の積極的な参加も求めています。例えば、経団連は企業行動憲章を改定し、会員企業に対してSDGsの達成に向けて行動するように求めています。

SDGsは17の目標をクリアすることで、持続可能でよりよい社会の実現を目指すものであり、直接的に投資と結びついているわけではありません。しかし、企業の側から見れば、課題解決がビジネスチャンスにつながる可能性があります。例えば、社会がSDGsの目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の達成のためにクリーンエネルギーの導入を進めることで、クリーンエネルギー市場に大きなビジネスチャンスが生まれる可能性があります。

ESGとSDGsに共通していることは、持続可能な社会の実現を目指している点であり、これはよりよい未来からリターンを得ようとすることと言えます。