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- トランプ2.0下での注目すべき新興国株と投資戦略
●新興国の労働人口増加国には相互関税の影響が相対的に限られると見られる国が多い
●新興国の経済規模は米国を凌ぎ、新興国の米国への輸出依存度は低下
●米国の関税の影響が相対的に少ない国の銘柄に注目
■ 相対的に相互関税の影響は限定的な新興国の労働人口増加国
米トランプ大統領が、4月2日に発表した「相互関税」が市場の想定より厳しい内容となったことを受けて、世界的に景気の先行き不透明感が高まり、世界的な大幅株安となりました。その後、発動に猶予期間を設けると発表するなど、状況が変化し、金融市場は値動きが大きい展開となっています。
中国をはじめ米国の貿易赤字が大きい主要貿易相手国にはより重い関税が課され、ベトナム、タイ、インドネシアなどのASEAN諸国が予想以上の関税に直面する一方、メキシコやブラジルなどの中南米諸国は懸念されていたよりも低い関税が適用されるなど、国によって明暗が分かれています。
■ 新興国の労働人口増加国には相互関税の影響が相対的に限ぎられると見られる国が多い~低い米国輸出への経済の依存度
追加関税・相互関税の影響に関しては、その国のGDPに占める米国への輸出の割合が高い国ほどマイナスの影響が大きくなります。新興国の労働人口増加国のGDPに占める米国への輸出の割合(2023年)はメキシコなどを除くと2%以下と低い水準です。
■ 新興国の経済規模は米国を凌ぎ、新興国の米国への輸出依存度は低下
新興国全体での米国への輸出割合は1999年8月の27%をピークに2024年11月の16%まで低下する一方、新興国域内での貿易は同23%から46%まで拡大し、米国への輸出依存度は低下しています。トランプ1.0下での米中貿易摩擦が悪化した際には、新興国の米国への輸出は横ばいとなりましたが、新興国域内への輸出は拡大しました。新興国経済は、世界のGDPに占める割合でみると1999年から2024年までの25年間で20%から41%へと倍近く拡大する一方、米国は29%から27%へ低下し、新興国全体の経済は米国を凌ぐ規模となっており、今後も拡大が予想されています。(出所:国際通貨基金(IMF))
■ 主要新興国の労働人口増加国は相対的に高い経済成長が予想される
国際通貨基金(IMF)は4月に世界の経済見通しを発表し、米関税の影響を理由に米国や中国など多くの国・地域の経済成長率予測を引き下げました。米追加関税の税率の高い国や、経済への米国輸出依存度の高い国ほど、GDPの成長率予想が鈍化し、米国のGDP成長率も低下が予想されています。一方、当ファンドの投資対象である労働人口が増加しているインドや中東、アフリカ地域の国のGDP成長率も下方修正されましたが引き続き高い水準での成長が予想されています。
■ 当ファンドの投資戦略~米国関税の影響が相対的に少ない国の銘柄に注目
当ファンドでは、新興国の労働人口増加国の株式市場の銘柄について、詳細な分析を行い、バリュエーション(投資価値評価)等を勘案し、中長期的な業績成長が期待される銘柄を選別しています。
国別配分に関しては当ファンドは米関税引き上げの影響が懸念されるアジアの投資比率を低位とし、影響が相対的に小さい中南米や中東・アフリカを高位としています。
■ 新興国の労働人口増加国の株式市場見通し
新興国経済および株式市場の見通しについては、今後も中長期的に高い成長が期待できるとの見方に変更はありません。一方で、短期的には米国のトランプ政権による関税政策や地政学リスクなどを背景に、株価の変動が大きくなる可能性には留意する必要があると考えます。
こうした中、新興国の労働人口増加国の株式市場は、以下の理由で、底堅く推移する可能性があると考えています。
1) 新興国の経済成長性は依然として先進国よりも相対的に高い
2) 世界の主要中央銀行は金利を引き下げる余地があり、世界経済を下支えするものと期待される
3) 労働人口増加国のなかでは、インド、ブラジル、アラブ首長国連邦(UAE)、南アフリカなどの国は相対的に米国への輸出の依存度が小さく関税引き上げの影響が相対的に小さいこと、米国の関税が大幅引き上げとならなかった国は、対象国を回避する貿易の流れの変化などにより、漁夫の利を得る可能性がある
4) 投資対象の労働人口増加国の多くは株式のバリュエーション(投資価値評価)が魅力的な水準
■ (ご参考)米ドル安は新興国株式の上昇要因になるとみる
米ドルは過去の水準からの乖離でみると過大評価されているとみられます。過去の実績では、米ドル安が進行する局面では、新興国株式が先進国株式に対してアウトパフォームする傾向がみられます。
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