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- イラン戦争による原油価格高騰の新興国株式へのインパクトは明暗分かれる
●イラン戦争で世界的な株安となるなか、石油の自給率およびエネルギー(石油、天然ガス、石炭)の自給率の高い国の株価は相対的に底堅く推移
●当ファンドでは、ブラジルなど、今回のイラン戦争の直接的な影響が及ばないと考えられる国・地域のエネルギーセクターなどの組入比率を高位に
■イラン戦争で世界的な株安となるなか、石油の自給率およびエネルギー(石油、天然ガス、石炭)の自給率の高い国の株価は相対的に底堅く推移
2026年2月28日、米国とイスラエルがイランに対して大規模な攻撃を開始しました。情勢は周辺の湾岸諸国にも広がり、原油や天然ガスの輸送の要所であるホルムズ海峡が事実上封鎖されています。そのため、供給への懸念が高まり、原油価格は高い水準で推移しています。こうした中、世界の主要国の株式市場は下落基調となっています。
2026年年初来から現在(3月24日)までの、当ファンドの投資対象国(新興国の労働人口増加国)の株価をみると、大きな攻撃を受けた国や政治・ガバナンス不安も下落要因となったインドネシアなどを除くと、多くの石油やエネルギー自給率の高い国の株価は相対的に底堅く推移しました。
■ 中東情勢緊迫化と当ファンドの投資戦略
当ファンドでは、これまで経済や企業業績の成長見通し、割安な水準にある株価バリュエーション(投資価値評価)などから中東地域に注目してきました。2月末の構成比はサウジアラビアが7.2%、アラブ首長国連邦(UAE)が13.7%でした。なお、イランおよび今回攻撃の対象となったその他の中東湾岸諸国の組入れはありません。
当ファンドでは1月以降、米国がイランに対する圧力を強めたことによる地政学的緊張の高まりなどを受けて、原油価格が上昇した場合に業績悪化が懸念されるUAEの航空会社の株式を売却した一方で、UAEで石油やガス掘削事業などを行う銘柄の組入比率を高めてきました。また、ブラジルなど、今回のイラン戦争の直接的な影響が及ばないと考えられる国・地域の石油・ガス関連銘柄を中心にエネルギーセクターや、地政学的リスク上昇に伴う貴金属の安全資産需要を背景に南アフリカの関連銘柄などの組入比率を高めています。
事態については依然として流動的であり、明確な見通しを示すことは現段階においても困難ですが、ホルムズ海峡の封鎖が長期化した場合には、世界経済や株式市場に大きなマイナスの影響が及ぶと考えられます。
足元では、リスクの高い中東地域の銘柄の組入比率を引き下げる一方、引き続き、戦争の直接的な影響が及ばないと考えられる国・地域のエネルギーセクター銘柄などの組入比率を引き上げる方針です。ただし、事態が収まったあとの反転の動きなどを勘案し、中東地域の銘柄についても一定程度の組み入れは、状況を注視しながら、継続する方針です。
今後も、インフレへの影響や米ドルの動向などにも注目し、組入銘柄の入れ替えなどを通じて機動的にポートフォリオの調整を行う方針です。
■ イラン戦争によるエネルギー価格上昇、供給問題で相対的に強い新興国はどこか
ホルムズ海峡は世界の石油の約20%(世界消費ベース)、LNG(液化天然ガス)貿易のおよそ20%が通過する大動脈で、長期遮断時は輸出・精製設備の稼働停止が連鎖し、石油由来の関連製品や肥料(アンモニア等は天然ガスを主要原料)などを通じて食糧品の供給にも影響を与えます。
イラン戦争が長期化した場合には、以下の条件を多く満たす国の経済や株式市場の耐性が相対的に強いと考えられます。
1)エネルギー供給、製造業、食糧供給が自国あるいは同盟国の経済圏で自給完結でき、かつ、輸出余力がある
2)地政学的に中東に近接していない
3)内需低迷や原油高の影響が懸念される中国への輸出比率が相対的に小さい
4)対米関係が良好
■ (ご参考) エネルギー価格の上昇や供給問題に相対的に強い国の例
【ブラジル】 「食糧およびエネルギー安全保障」の観点で有力
強み:食糧およびエネルギーの供給がほぼ自国中心で完結しており、電力は主に水力発電に依存しているため、石化燃料への依存度が低位にとどまっています。また、周辺諸国への電力輸出余力も大きい状況です。食糧およびエネルギーについては地政学的に中立性が高く、中東地域から物理的距離があります。輸出先として中国の比率が高くなっていますが、食糧や資源の輸出が中心であるため価格の変動の影響を比較的受けにくい特性があります。
リスク:株式市場は資源および金融セクターの比率が高く、中国経済の減速時には短期間で株価変動リスクが高まります。財政状況や金利動向についても注視が必要となります。
【メキシコ】 中国への依存が低く、北米の需要を取り込む輸出国
強み:輸出は米国向けが中心のため、中国への依存は比較的少なく、自動車・家電・機械の組立や部材が強みです。エネルギーや食糧の自給率は北米ほど高くありませんが、供給網が分断されても製造業の優位性は維持できるとみられます。また、中東依存が低いため、ホルムズ海峡封鎖の影響も受けにくいと言えます。
リスク:米国の景気や通商政策の動向に大きく左右されるため、景気の減速や関税・原産地規則の変更などが起こった場合、その影響を受けやすくなっています。
【マレーシア】 LNGやパーム油などの輸出余力、政治的安定、ホルムズ海峡封鎖の影響は低い
強み:LNGやパーム油などの輸出余力があります。LNGは世界トップクラスの輸出国です。政治が安定しており、電力や港湾などインフラも堅実です。ホルムズ海峡封鎖の直接的な影響は少ないとみられます。
リスク:経済規模が小さく、外需の変動を受けやすく、中国への需要依存が高くなっています。南シナ海とマラッカ海峡に位置し、ホルムズ海峡封鎖による輸送の減少の影響を間接的に受けると考えられます。
【インドネシア】 資源と人口による内需の複合的成長
強み:石炭やニッケルなどの資源の産出と人口増加による内需拡大が強みです。ニッケルは電気自動車の素材であり、また電化の流れの中で、需要拡大も見込まれます。ホルムズ海峡封鎖の影響は低いと考えられます。
リスク:中国向けの輸出比率が高く、輸出産品の付加価値を高めていくことが重要です。政治情勢に絡んだ投資規制リスクには注視が必要です。原油の自給率は相対的に高いものの、全部は自国で賄えず、純輸入国になっています。
【サウジアラビア】 世界最大のエネルギー資源の供給能力を有する
強み:石油については、世界トップクラスの供給能力をもち、低コストで産出が可能です。政策によって下流部門や化学・金属産業の基盤も広がっています。東西パイプラインの存在により、一部の原油は紅海側へバイパスすることが可能です。
リスク:紅海ルートはあるものの、ホルムズ海峡の完全代替にはなりません。ホルムズ海峡が長期間遮断されると生産停止や機会損失につながります。中国経済が減速すれば原油輸出も減少すると考えられます。戦況悪化で施設が破壊される可能性もあり、注視が必要です。
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