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- トランプ関税で存在感が高まる新興国株式は?
●当ファンドの投資対象のパフォーマンスは、5年間で新興国株式を上回る
●新興国株式のパフォーマンスは、米国の相互関税発表後も先進国株式を上回る
●関税回避のために生産拠点や物流ルート再編などの動きが進展
●米国関税引き上げは世界貿易の構造変化を更に促し、新興国経済の存在感を高めるとみる
■ 当ファンドの投資対象のパフォーマンスは、5年間で新興国株式を上回る
新興国のなかでも経済成長率予想が高い傾向がある、「労働人口増加国」を投資対象とする当ファンドの投資対象のパフォーマンスは、直近の5年間で一般的な新興国株式を上回って上昇してきました。
当ファンドでは、新興国の労働人口増加国の株式市場の銘柄について、詳細な分析を行い、バリュエーション(投資価値評価)等を勘案し、中長期的な業績成長が期待される銘柄を選別しています。
■ 新興国株式のパフォーマンスは、米国の相互関税発表後も先進国株式を上回る
新興国株式は、米国の相互関税発表(2025年4月2日)後大きく下落するもその後、反発し、先進国株式を上回って推移しています。当ファンドの組入上位国(2025年9月末現在)の多くも、堅調に推移しています。
背景としては、新興国のなかには、1)米国の高関税が課された新興国でも、物流ルートのシフトなどにより輸出の大幅減少を回避している国が多くみられること、2)高関税が課された国の代替としての生産拠点や物流ルートとして恩恵を受ける国があること、3)バリュエーション(投資価値評価)が主要先進国株式よりも相対的に割安な株式が多いこと、4)先進国よりもインフレが先んじて低下し、利下げを行う国が多く、経済の下支えとなっていること、などがあげられます。新興国株式は、今後の米関税の状況などにより株価が大きく変動する可能性もあることから、投資機会を捉えつつ、投資国の選別や分散投資が肝要と考えます。
■ トランプ関税の経済全体への影響が限定的な新興国の労働人口増加国
追加関税・相互関税の影響に関しては、その国のGDP(国内総生産)に占める米国への輸出の割合が高い国ほどマイナスの影響が大きくなります。新興国の労働人口増加国のGDPに占める米国への輸出の割合(2023年)はメキシコなどを除くと2%以下と低い水準です。
■ メキシコは既存の関税協定を背景に、対米輸出が拡大
メキシコは、対米の輸出割合がGDPの27%と高く、対米輸出の動向が自国経済に大きく影響します。メキシコには、合成麻薬流入を理由に今年3月から25%の米追加関税が課されていますが、関税発動後の同国と中国の対米輸出の推移を比較すると、中国は関税の影響を受け対米輸出が大きく減少する一方、メキシコは逆に増加しています。メキシコは既存の「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」により、一部の品目で高関税が回避できるため、関連品目のメキシコの生産拠点を強化する動きや物流ルートの変更などによる恩恵を受けていることなどが背景にあると考えられます。
■ 関税回避のために生産拠点や物流ルート再編などの動きが進展
米国関税の引き上げにより、高関税がかけられた国の対米の直接輸出に影響が出ています。こうした国々の製造業はサプライチェーンを東南アジアやメキシコなどへ多角化し、関税回避のために生産拠点や物流ルート再編、貿易相手国の見直しをするなどの動きを進めています。
【インド】 米国は8月にロシア産原油輸入を理由に現行の相互関税25%に加え、累計50%の関税をかけると発表。インドは対米輸出の割合がGDPの2%程度と低く、内需の割合が多いこともあり、経済全体への影響は相対的に小さいとみられる。インド政府は、米関税引き下げ交渉を進めると同時に、輸出の多角化を促進するプログラムを立ち上げ、高関税で影響を受ける繊維業界への支援策を打ち出す。
【ブラジル】 8月に累計50%の米関税をかけると発表。米追加関税から航空機が除外されたため、米系航空会社のブラジル製機材の調達が拡大し、米中摩擦のなかで、中国の航空会社向けも加速。関税競争による中国の米国から輸入先の転換で、農産品の輸出が増加。
【アラブ首長国連邦(UAE)】 米国の相互関税が10%、石油製品は新たな関税の対象から除外されており、対米輸出の割合がGDPの1%程度と低いこともあり、経済全体への影響は相対的に小さい。
【南アフリカ】 30%の米関税。同国の主要輸出品である鉱物資源などは米関税対象外。金やプラチナの需要が増加するなど輸出が増加する一方、自動車関連などの低迷により、全体では対米輸出は減少。ただし、対米輸出の割合がGDPの2%程度と低いこともあり、経済全体への影響は相対的に小さいとみられる。南アフリカ政府は影響を受ける国内企業に対する支援策を発表。
■ 米国関税引き上げは世界貿易の構造変化を更に促し、新興国経済の存在感を高めるとみる
2000年以降、新興国の輸出に占める対米輸出の比率は減少する一方、新興国域内での貿易が拡大してきました。貿易構造変化の動きは、長期的には新興国各国の経済的な結びつきの多様化と新興国の存在感強化につながるとみれらます。
■ (ご参考)新興国投資において、パフォーマンス上位は毎年入れ替わる
主要新興国のなかで最も高い経済成長率が予想されているインド株式投資に注目が集まっていますが、主要労働人口増加国の国別、年別株価騰落率ランキングを見ると、インドを上回るパフォーマンスを記録した国が多くみられます。ただし、毎年ランキングの上位国は入れ替わるため、インドを含む、労働人口増加国の株式を選別することで、中長期的に新興国の単一国投資を上回るパフォーマンスを達成することが可能であると考えられます。
こうした貿易構造の変化は、新興国が拡大していくなかでも各国の地政学的条件や経済構造により経済成長に差ができると考えられます。世界的な貿易構造や経済勢力図の変化などをとらえ、中長期的に成長が期待される労働人口増加国への分散投資に注目すべきと考えます。
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