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解散・総選挙の時期と追加財政政策
市川 眞一
2021/04/09

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概要

衆議院の任期満了が10月21日に迫るなか、菅義偉首相、二階俊博自民党幹事長の発言もあり、解散・総選挙の時期を巡る憶測が喧しい。政治日程から見れば、総選挙は5月下旬、7月4日の東京都議会議員選挙との同日選、10月に絞られるが、依然、秋の確率が70%程度と推測される。菅政権は、その前の段階で2021年度補正予算の編成に踏み切るのではないか。



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早期解散論:実現には2つの壁

4月4日のBSテレ東『日曜サロン』に自民党の二階俊博幹事長が出演した。番組で語ったポイントは、1)野党が今通常国会に内閣不信任案を出すなら、衆議院の解散を菅義偉首相に進言する、2)必要であれば2021年度補正予算を早期に検討する、3)「Go Toトラベル」の再開を期す・・・の3点と言えよう。特に注目されたのは解散に言及した部分だが、3月29日の定例会見でも同様の発言をしていた。4月6日には、BS日テレの『深層ニュース』に出演した菅首相自身、野党が内閣不信任案を提出した場合、それは解散の大義に「当然なると思う」と語っている。

衆議院の任期を考えれば、総選挙のタイミングは5月下旬、7月4日、そして10月に絞られるだろう。5月下旬より前だと公示がゴールデンウィーク中になり、6月の総選挙なら事務的な観点から都議選との同日選が効率的だからだ。その後は五輪が開幕するため、解散は早くてもパラリンピック閉会直後となり、総選挙は10月に行われることになる(図表1)。

 

自民党内には、五輪前の解散に期待する声が根強いのではないか。秋の段階で政権にとって不都合な政治状況になっていても、総選挙の先送りはできない。従って、挽回の時間を作れないまま国民に信を問うことになるからだ。

もっとも、早期の解散・総選挙には2つの壁があるだろう。1つは、公明党の意向だ。東京都を重視する同党は、都議選に集中するため、同時期の総選挙を望んでいないと見られる。2つ目の壁は新型コロナである。1府2県に発令されたまん延防止措置は5月5日が期日で、それまでの解散は難しい。また、首都圏、近畿圏だけでなく全国で感染者は増加傾向にあり、5、6月に第4波のピークが来る可能性は否定できない(図表2)。感染拡大期における総選挙は、政権与党にとって不利になることが予想される。

 

そうしたなか、内閣不信任案を提出された場合、政治的空白の責任を野党側に帰すことが可能かもしれない。菅・二階発言はその可能性を計算したと見られる。ただし、やはり政権の責任は重いだろう。現時点において、総選挙の時期は秋の確率が70%、早期の確率が30%程度ではないか。

 

2021年度補正予算:選挙対策として可能性はあるが・・・

総選挙を戦う上で、与党には何らかのアピールポイントが必要だろう。二階幹事長の発言を聞く限り、その1つが2021年度補正予算である可能性は十分に考え得る。

もっとも、マーケットの一部に期待のある公共事業については、既に2020年度第3次補正予算でも対応しており、施工能力の観点から大幅な積み増しは難しい。むしろ、選挙前に広く有権者に訴える視点から、仮に補正を編成するとすれば、給付金などが中心になるのではないか。

市川 眞一
シニア・フェロー

日系証券の系列投信会社でファンドマネージャーなどを経て、1994年以降、フランス系、スイス系2つの証券にてストラテジスト。この間、内閣官房構造改革特区評価委員、規制・制度改革推進委員会委員、行政刷新会議事業仕分け評価者など公職を多数歴任。著書に『政策論争のデタラメ』、『中国のジレンマ 日米のリスク』(いずれも新潮社)、『あなたはアベノミクスで幸せになれるか?』(日本経済新聞出版社)など。


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