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米気候変動サミット 「ムーンショット」は実現なるか?
田中 純平
2021/04/27

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概要

米バイデン大統領が主催した気候変動サミットが4月22~23日の2日間にわたって開催された。この気候変動サミットにあわせて、米国は2030年までの二酸化炭素(CO2)削減目標を従来よりも大幅に上方修正させた。気候危機の解決につながる「ムーンショット」を米国は実現させることが可能なのか?



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CO2の削減は「率」ではなく「量」が重要

米国はこれまでCO2の削減目標を「2025年までに05年比で26~28%減」としてきたが、今回の気候変動サミットに合わせてこの目標を「2030年までに05年比で50~52%減」へ大幅に上方修正した。また、日本もこれまでCO2の削減目標を「2030年までに13年比で26%減」としてきたが、これを「2030年までに13年比で46%減」へ大きく引き上げた。ちなみに、欧州はすでに昨年12月時点で「2030年までに90年比40%減」から「2030年までに90年比で55%減」へ上方修正済みだった(図表1)。

米国と欧州、日本のCO2削減目標はそれぞれ基準年がバラバラになっているが、これは各国地域でCO2排出量が最も多かった年を基準にしていることが背景にある。だが、それぞれの基準年に合わせてCO2の削減率を再計算しても、実は大して変わらないことが分かる(図表2)。むしろ、重要なのは19年比でみたCO2削減「量」だ。

2030年における米国、欧州、日本それぞれのCO2目標削減率から逆算したCO2削減量は、19年対比で米国が約23億トン、欧州が約18億トン、日本は約4億トンになる(米は05年比51%減として計算)。CO2削減量でみれば米国の「貢献度」が最も大きくなることは明らかで、それに伴う経済効果(クリーンエネルギー投資など)も必然的に高まることが予想される。

気候変動サミットで出た米国の具体策は?

今回の気候変動サミット2日目に登壇したジェニファー・グランホルム米エネルギー長官は、2030年までに太陽光発電価格を50%低下、蓄電池セルの価格を50%低下、そしてクリーン水素のコストを80%低下させる目標を表明した。グランホルム長官は、米ケネディ元大統領のアポロ計画になぞらえ、気候危機を解決することは「ムーンショット(実現すれば大きな成果が期待できるもの)」だと表現し、クリーンエネルギーへの移行によって2030年までにグローバルな市場規模が23兆ドルに達すると語った。

具体策は米国国内にとどまらない。米国貿易開発庁が主導する「気候スマートインフラのためのグローバル・パートナーシップ」(Global Partnership for Climate-Smart Infrastructure)も、気候変動サミット開催に合わせて立ち上がった。これは米国のクリーンエネルギー及び輸送ソリューションを新興国に提供するイニシアチブで、すでにインドやブラジル、インドネシアなどがプロジェクトに名を連ねている。気候変動対策への国際的な機運は、徐々に高まりつつある。

田中 純平
ストラテジスト

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとして主に世界株式市場を分析。ピクテ・グループ全体のハウス・ビューを策定するピクテ・ストラテジー・ユニット(PSU)にも参加し、レポートや動画、セミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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