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- バイデン大統領がFRBの引き締め策を支持する理由
5月3、4日の次回FOMCにおいて、FRBは利上げと共に資産圧縮の開始を決める可能性が強まっている。ジョー・バイデン大統領は、インフレ圧力の抑止に向け本格的に舵を切るFRBを支持するだろう。実質賃金の目減りを放置すれば、有権者の政権に対する不満が高まりかねないからだ。日米の金融政策の違いが導くドル高についても、積極的に受け入れるのではないか。
物価の上昇要因:資源価格高騰だけではない
バイデン大統領により次期副議長に指名されているFRBのラエル・ブレイナード理事は、4月5日、ミネアポリス連銀などが主催するカンファレンスで講演、次回のFOMCにおいて「急速なペース」での資産圧縮を決める可能性に言及した。ジェローム・パウェル議長も金融政策を中立に戻す必要性を強調しており、FRBは完全雇用、物価安定のデュアルマンデートのうち、物価に重心を置く姿勢を鮮明にしている。
背景が強まるインフレ圧力であることに疑いの余地はない。3月の消費者物価指数は前年同月比8.5%、食品、エネルギーを除くコア指数も同6.5%上昇した。いずれも1982年以来の高い率だ。新型コロナによるサプライチェーンのボトルネックが続くなかで、ウクライナ危機もありエネルギー、穀物など資源価格が高騰したことが背景と言える。
ただし、より構造的な問題として、深刻な労働力不足による賃金の上昇も影響しつつあるのではないか。2月の産業別求人数は1,127万人であり、8ヶ月連続で1千万人台となった(図表1)。一方、3月の失業者(≒求職者)は595万人で、求人との間には労働力人口の3.2%に相当する532万人のギャップが存在する。新型コロナ禍により年齢の高い層がリタイアした上、移民の流入が細っていることが要因だろう。
雇用の確保は事業者にとって喫緊の課題になり、賃上げ競争になっている模様だ。その結果、3月の平均時給上昇率は前年同月比5.6%の高水準になった。米国においては、労働コストは価格に転嫁される傾向が強い(図表2)。結果として、消費者物価がさらに押し上げられる循環になっている。
政策の優先順位:雇用に影響が及ぶまではインフレ退治
賃上げが加速しているとは言え、現時点では消費者物価上昇率の方が大きいため、実質賃金の伸びはマイナスの状況だ。購買力の低下しつつある米国の有権者は、バイデン政権の経済政策に対し不満を募らせる可能性がある。
2度の石油危機で物価が高騰した1970年代、リチャード・ニクソン大統領が辞任した後、共和党のジェラルド・フォード、民主党のジミー・カーター、2代の大統領が再選を果たせなかった。実質賃金の減少が政治を不安定化させたのである。
足下、3月の失業率は3.6%になり、事実上の完全雇用と言える水準まで低下した。バイデン政権としては、少なくとも雇用に顕著な影響が出るまで、FRBの金融引き締めによるインフレ退治を積極的に支持するのではないか。
一方、日銀は、今のところ少なくとも公式には歴史的な緩和政策を堅持する姿勢を示している。日米の金融政策の違いは、為替市場においてさらなるドル高・円安の要因となるだろう。世界最大の輸入国である米国にとって、強いドルはインフレ圧力を緩和する。バイデン政権が本格的にドル高の是正へ乗り出す可能性は低い。一方、円安はコスト上昇要因として日本経済の成長を阻害すると見られる。
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