■ 12月の投資環境

12月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数（現地通貨ベース）で上昇しました。
世界の株式市場は、11月の米雇用統計が労働市場の底堅さを示し、米国経済のソフトランディングに対する期待が高まったことに加え、ドイツの製造業関連の経済指標悪化や欧州中央銀行（ECB）高官の発言などを受けてユーロ圏の早期の利下げ転換観測が高まったことなどから、上旬から上昇する展開となりました。中旬以降も、米連邦公開市場委員会（FOMC）後にパウエル米連邦準備制度理事会（FRB）議長が追加利上げの可能性が低いことを示したことなどを受けて世界の株式市場は上昇基調を維持し、月間でも上昇となりました。

業種別では、エネルギーを除くすべての業種が上昇しました。特に、不動産、資本財・サービス、素材などの上昇率が大きくなりました。一方、生活必需品、公益事業、コミュニケーション・サービスなどは相対的に小幅な上昇となりました。

水関連企業（現地通貨ベース）の株価は、株式市場を上回る上昇となりました。上下水道サービスセクターが軟調な展開となるなかで、装置製造・エンジニアリングセクターの上昇が寄与しました。環境マネジメント・サービスセクターは小幅な上昇にとどまりました。装置製造・エンジニアリングセクターでは、米国の住宅着工件数や建設許可件数など住宅建設に関する指標が予想を上回って堅調だったことや金利が低下したことを背景に、資材販売のファーガソンやコア・アンド・メイン、家庭用の配管器具メーカーのフォーチュン・ブランズ・イノベーションズなどが、特に堅調でした。コア・アンド・メインは四半期業績が好調だったことやプライベート・エクイティの投資家からの売り出しがあったこともプラス要因となったようです。一方、中国のハイアールスマートホームやチャイナ・レッソ・グループ・ホールディングスなどは中国市場が軟調なかで苦戦しました。環境マネジメント・サービスセクターでは廃棄物処理の銘柄が比較的好調でした。GFLエンバイロメンタルは営業レバレッジの改善継続や成長と負債削減を進める規律ある資本配分に対する投資家の信頼が回復し、株価が上昇しました。上下水道サービス・セクターは総じて軟調でしたが、さらなる民営化に向けた議論が行われているサンパウロ州基礎衛生公社は先月に続いて上昇しました。

 

■ 今後の見通し

見通しについては、地政学リスクやインフレの高まりによりグローバル景気の先行きに不透明感があります。世界各国の購買担当者景気指数（PMI）は景況感の分かれ目とされる50を越えられず、労働コストやエネルギー・コストの上昇による最近のインフレ懸念は、短期的には金利引き下げを遅らせる可能性があります。水関連企業についてみると、米国の財政支出の増加が受注増加に反映され始めており、米国を拠点とする多くの上下水道インフラ関連企業や多角経営企業の収益を下支えすると予想しています。

水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズは堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。