Article Title
金需要を後押しする中央銀行の積極的な金購入
2023/05/18

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

・中央銀行による金需要は2023年1-3月期に前年同期比で約176%増加
・新興国を中心に中央銀行の金需要は底堅い推移が予想される
・金融不安や景気後退懸念などを背景に足元では投資対象としての金需要も増加傾向


Article Body Text

中央銀行による金需要は2023年1-3月期に前年同期比で約176%増加

金価格の変動要因は景気やインフレ、金利動向など多岐にわたりますが、商品(コモディティ)としての側面からは需要と供給が価格に影響し、需要超過であれば価格の上昇要因、供給過剰であれば下落要因となるといえます。なお、金に対する需要は宝飾品とテクノロジー(電子部品などの工業用品)、投資および中央銀行に代表される公的部門注1(以下、中央銀行)に大きく分けられます(図表1参照)。


ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が発表した四半期ごとの需要レポートでは、2023年1-3月期の金の総需要の内訳において、中央銀行による金購入が前年同期比約176%増の228.4トンに達したことが示されました(図表2参照)。

新興国を中心に中央銀行の金需要は底堅い推移が予想される

中央銀行による金需要は2022年以降、インフレ圧力やロシアのウクライナ侵攻による地政学的な不確実性の高まりなどを背景に新興国を中心に大きく増加しました。2023年1-3月期の中央銀行の金需要は2022年後半の水準を下回りましたが、過去との比較では依然として高い水準となっています(図表3参照)。世界の主要な中央銀行を対象とした調査注3では、金を保有する理由として危機下における価値の安定性に対する期待や通貨分散の手段として評価する傾向が強いことが示されています。また、米ドルを基軸通貨とした国際通貨システムの変化を受けて、米ドルへの依存度を下げたいという一部の新興国の思惑なども金需要の増加につながっていると考えられます。米中の対立など地政学的な不確実性が高まる中で、外貨準備を多様化させる動きなどが構造的な要因となり、中央銀行の金需要は今後も底堅く推移する可能性があると考えられます。

注3 WGCによる2022年の年次中央銀行調査


一方で、中央銀行以外の金需要の項目を見ると、現物の金を裏付け資産とする金ETFからの資金流出などを背景に、投資対象としての金の需要が低下しました。金は金利が付かない資産であるため、世界的な金利上昇に伴い金の相対的な魅力度が低下したことなどから、2022年4-6月期以降は金ETFからの資金流出超の傾向が続いています(図表4参照)。


金融不安などを背景に足元では投資対象としての金需要も増加傾向

しかし、金ETFの月次需要動向をみると、2023年3月以降は金ETFへの資金流入に伴い、投資対象としての金需要が増加に転じていることが示されています(図表5参照)。金は実物資産としてそのもの自体に価値を持ち、株式や債券のように発行体の信用リスクがないことから、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻のように地政学リスクが高まる局面などで資金の逃避先としての需要が高まる傾向があります。2023年3月以降については、米国の地銀の破綻を契機とする金融不安の高まりや景気後退への懸念などを背景に、投資対象としての金の需要が増加していると考えられます。


その他の主要な金需要の項目である宝飾品とテクノロジーについては、短期的には需要の高い伸びが期待できない状況にあると考えられます。宝飾品需要については物価や金価格の上昇に伴う宝飾品価格の上昇から買い控えの動きが見込まれることに加え、コロナショック後の経済再開後は旅行などレジャー消費が優先される傾向にあることなどが要因です。テクノロジーについても、コロナショックに伴う特需の剥落などが需要を抑制する要因になると考えられます。そのため、総合的な金需要の動向は力強さに欠く可能性がありますが、米国の連邦債務上限を巡る懸念といった短期的な要因も含めて地政学的な不確実性などを背景に中央銀行や投資需要の増加が見込まれることは、金価格を下支えする要因になると期待されます。



●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。

お申込みにあたっては、交付目論見書等を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
投資リスク、手続き・手数料等については以下の各ファンド詳細ページの投資信託説明書(交付目論見書)をご確認ください。

ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)

ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)



関連記事


日付 タイトル タグ
日付
2024/04/01
タイトル ピクテ・ゴールド|投資タイミングに左右されにくい金の長期積立投資 タグ
日付
2024/03/26
タイトル 【動画】ゴールド|金価格が最高値更新 今は投資タイミングか?<塚本 卓治> タグ
日付
2024/02/28
タイトル 【動画】ゴールド|金利上昇にもかかわらず 底堅い動きを示す金価格<塚本 卓治> タグ
日付
2024/02/15
タイトル ピクテ・ゴールド|中央銀行の積極的な金購入が継続 タグ
日付
2024/02/09
タイトル ピクテ・ゴールド|長期で物価を上回る上昇を見せてきた金価格 タグ
日付
2024/01/26
タイトル 【動画】ピクテ・ゴールド|2024年 米国の金融政策の転換と、 中央銀行による金購入が 金価格にとってプラスの要因に <塚本 卓治> タグ
日付
2024/01/12
タイトル ピクテ・ゴールド|2024年の金価格を支える主な要因 タグ
日付
2023/12/22
タイトル 【動画】ゴールド|ゴールド最高値更新 2024年の 金相場を占う<塚本 卓治> タグ
日付
2023/12/08
タイトル ピクテ・ゴールド|2024年の貴金属市場の見通し タグ
日付
2023/12/01
タイトル ピクテ・ゴールド|改めて注目したい米国株式と金の組合せ効果 タグ
日付
2023/11/28
タイトル 【動画】ゴールド|金ETF需要に関する投資環境に転換の兆し<塚本 卓治> タグ
日付
2023/11/10
タイトル ピクテ・ゴールド|米国の利上げサイクル終了後の金価格 タグ
日付
2023/11/08
タイトル ピクテ・ゴールド|金需要を後押しする中央銀行の積極的な金購入 タグ
日付
2023/10/30
タイトル 【動画】ゴールド|これからの金価格、注目のポイント<塚本 卓治> タグ
日付
2023/10/25
タイトル ピクテ・ゴールド|金投資の方法を比較~“投資信託”と“現物” タグ
日付
2023/10/11
タイトル ピクテ・ゴールド|中東情勢の不安定化と金価格 タグ
日付
2023/09/27
タイトル 【動画】ゴールド|「税込み1グラム当たり1万円の金価格」は 高いのか?それとも安いのか?<塚本 卓治> タグ
日付
2023/09/12
タイトル 【動画】ゴールド|利上げピークアウト後のポートフォリオにおける金の重要性<塚本 卓治>2023.8 タグ
日付
2023/08/31
タイトル ピクテ・ゴールド|過去最高値を更新した円建ての金価格 タグ
日付
2023/08/29
タイトル ピクテ・ゴールド|改めて注目したい株式と金の組合せ効果 タグ
日付
2023/07/31
タイトル 【動画】ゴールド|金価格が再び最高値を更新するタイミングはいつ訪れるのか?<塚本 卓治> タグ
日付
2023/06/28
タイトル ピクテ・ゴールド|金価格を見通すうえでの重要なポイント タグ
日付
2023/06/27
タイトル 【動画】ゴールド|ゴールドは2,000ドルを超え、最高値を更新するのか?<塚本 卓治> タグ
日付
2023/06/09
タイトル ピクテ・ゴールド|教養としての金投資 タグ
日付
2023/05/29
タイトル 【動画】ゴールド|金価格2000ドル割れの背景と今後の見通し<塚本 卓治> タグ
日付
2023/05/25
タイトル ピクテ・ゴールド|改めて注目したい株式と金の組合せ効果 タグ
日付
2023/05/01
タイトル ピクテ・ゴールド|米国の利上げサイクル終了後の金価格 タグ
日付
2023/04/25
タイトル 【動画】ゴールド| ゴールド2000ドル越え、この水準をどう見るべきか?<塚本 卓治>2023.4 タグ
日付
2023/04/20
タイトル ピクテ・ゴールド|金投資における為替ヘッジの要否を考える タグ
日付
2023/03/30
タイトル 【動画】ゴールド| 金価格の振り返りと今後の見通し<塚本 卓治>2023.3 タグ
日付
2023/03/28
タイトル ピクテ・ゴールド|金融不安を背景に金価格は11ヵ月ぶりの高値水準に ~今後の見通しと足元の動き~ タグ
日付
2023/02/28
タイトル 【動画】ゴールド|金を取り巻く投資環境 2023年の4つのシナリオと金価格の見通し<塚本 卓治> タグ
日付
2023/02/27
タイトル ピクテ・ゴールド|改めて注目したい株式と金の組合せ効果 タグ
日付
2023/02/13
タイトル ピクテ・ゴールド|米ドル指数が下落傾向を示す中、米ドルベースの金価格は反発~今後の見通しと足元の動き~ タグ
日付
2023/01/27
タイトル 【動画】ゴールド|2023年のマクロ経済・金融見通しと金価格の見通し <塚本 卓治> タグ
日付
2022/12/22
タイトル ピクテ・ゴールド|米国の利上げ終了後、金価格はどう動いてきたか~過去のデータで振り返る~ タグ
日付
2022/11/18
タイトル ピクテ・ゴールド|今、金に注目する背景とは ~米国金利と米ドルの上昇に変化の兆し タグ
日付
2022/07/14
タイトル ピクテ・ゴールド|金投資の方法を比較~“投資信託”と“現物” タグ
日付
2022/07/06
タイトル ピクテ・ゴールド|改めて注目したい株式と金の組合せ効果 タグ
日付
2022/03/28
タイトル ピクテ・ゴールド|高インフレ下の利上げ局面入りで、金価格はどうなる タグ
日付
2022/03/22
タイトル 「有事の金」だけじゃない、いま金に注目する背景とは タグ
日付
2022/02/10
タイトル 利上げ局面における金価格 タグ
もっと見る