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利上げ局面における金価格
2022/02/10

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概要

2022年3月に米国の利上げが開始されるとの見方が強まっています。過去30年間で4回あった米国の利上げ局面を総合してみると、インフレに強い資産として知られている金の価格は上昇する傾向が見られました。また市場の不透明感が高まる中、他の資産と異なる動きをする金は分散投資のツールとして注目される可能性があると考えます。



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2022年3月、米国で利上げが開始される見通し

米国では物価上昇圧力が継続する中、2022年1月25、26日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文を受けて、2022年3月から政策金利(フェデラル・ファンド(FF)金利)の引き上げ(利上げ)が開始されるとの見方が強まっています。

直近のFF金利先物を見ても、今後の利上げ見通しが織り込まれています(図表1参照)。

図表1:米国の政策金利の推移
(実績)日次、期間:2017年1月31日~2022年2月3日
(予想)2022年3月、2022年6月、2022年9月、2023年2月の米連邦公開市場委員会終了時のFF金利先物の値

※予想はFF金利先物、2022年2月3日現在
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

ただし、FF金利の引き上げ幅や、予想より早い時期のバランスシート縮小開始の可能性に対する市場参加者の見方が分かれる中、株式市場は成長株中心に軟調な展開となっています。一方、利上げや米長期金利の上昇は、金利が付かない金にも逆風となる材料ではあるものの、足元の金価格には底堅さがみられます。

過去の米国利上げ局面で、金価格は上昇

米国の利上げが直前に迫る中、過去の利上げ局面での金価格の推移も興味深いものとなっています。

過去30年間における米国の利上げ局面は4回(図表2参照) ありました。過去4回の利上げ局面における金価格の騰落率を平均すると、利上げ開始までの3ヵ月間では金価格は下落していましたが、利上げ開始後は、3ヵ月後、6ヵ月後、1年後、2年後ともに上昇しました。

図表2:米国の利上げ前後の金価格のパフォーマンス
米ドルベース、過去利上げが開始された1994年2月4日、1999年6月30日、2004年6月30日、2015年12月16日を基点として、3ヵ月前、3ヵ月後、6ヵ月後、1年後、2年後の金価格の騰落率の平均値

※金:ロンドン・ゴールド・マーケット・フィキシングLtd-LBMA PMフィキシング価格/USD 
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

利上げ開始前の局面では利上げを巡る不透明感を織り込む動きの中、金価格は不安定な動きとなることもありました。しかし本来、インフレに強い資産として知られている金は、不透明感が払しょくされる利上げ開始後には、インフレへの注目などから上昇しています。

過去の動きを参考にするのであれば、金への注目度を高めていく必要があるかもしれません。

【ご参考】金と他資産を併せ持つ~米国株式の例~

米国をはじめとした各国中央銀行による金融引締めの動きやインフレ懸念、地政学リスクなど、足元、金融市場は不透明感が高まっているといえます。

このような環境下、株式や債券などの主要資産と異なる値動きをする傾向がある「金」と、他の資産を組み合わせて持つことで、分散効果が期待でき、資産全体の運用効率を高めることにつながると考えます。

米国株式と金の組み合わせ比率を10%ずつ変化させた場合のリスク・リターン(有効フロンティア)(図表3)をみると、米国株式に対し金の保有比率を上げていくと(米国株式50%、金50%あたりまで)、リスクが下がり、リターンが上昇していることがわかります。つまり、米国株式に対し、金を10%、20%程度組み入れることでも、分散投資効果があることを示しています。

図表3:金と米国株式の持ち合わせによるリスク・リターンの変化
月次、円ベース、期間:2002年1月末~2022年1月末

※金(円換算):ロンドン・ゴールド・マーケット・フィキシングLtd-LBMA PMフィキシング価格/USDを円換算、金(円ヘッジ):金価格からヘッジコスト(米ドル、円Libor1ヵ月物の金利差)を控除し算出、米国株式:S&P500種株価指数(配当込)、米国株式は円換算、金(円ヘッジ/円換算)と米国株式の持ち合わせは月次でリバランス ※リスクは月次リターンの標準偏差を年率化、リターンは年率 
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

過去20年間の金と米国株式の相関係数は、金(円ヘッジ)と米国株式が-0.16(逆相関)、金(円換算)と米国株式が0.15(低相関)でした。資産間の相関が逆相関の場合はそれぞれの資産が逆の動きを、相関が低い場合は価格の動きに関連性が小さいことを意味します。そのため、米国株式と金は、分散効果が期待できる可能性のある組み合わせと言えます。

また過去20年間のうち3年間保有した場合の収益率をみると、金と米国株式を組み合わせて保有した場合、最高値は小さくなるものの、最低値(最も大きく下落した場合)の下落率も大幅に小さくなっており、分散効果が発揮されていることがわかります(図表4参照)。

図表4:金(円換算/円ヘッジ)50%+米国株式50%、米国株式の3年間収益率(最大値、最小値、平均値)
月次、円ベース、年率化、期間:2002年1月末~2022年1月末

※金(円換算):ロンドン・ゴールド・マーケット・フィキシングLtd-LBMA PMフィキシング価格/USDを円換算、金(円ヘッジ):金価格からヘッジコスト(米ドル、円Libor1ヵ月物の金利差)を控除し算出、米国株式:S&P500種株価指数(配当込)、米国株式は円換算、金(円ヘッジ)50%+米国株式50%および金(円換算)50%+米国株式50%は月次でリバランス ※リスクは月次リターンの標準偏差を年率化、リターンは年率 
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 



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