戻り相場に漂う不透明感、慎重かつ機動的な運用を継続 | ピクテ投信投資顧問株式会社

戻り相場に漂う不透明感、慎重かつ機動的な運用を継続

2020/05/20アルテ
※投資リスク、手続・手数料等は、目論見書をご覧ください。

ポイント

各国で大規模な金融・財政政策が打ち出されている他、一部の地域で経済活動再開への期待が高まったことなどから、株式市場は戻り相場となりました。しかし、当面、先行き不透明感は依然として高い為、当ファンドでは株式の組入れをやや抑制的な水準まで引き下げています。今後も慎重かつ機動的な運用を継続する方針です。

4月の投資環境と 運用状況

世界の株式市場は、欧米の一部地域で新型コロナウイルスの感染拡大ペースに減速が見られたことや、米連邦準備制度理事会(FRB)による2兆3,000億ドル規模の支援策、トランプ米大統領が経済活動の再開に向けた指針を示したことなどを背景に上昇基調となりました。下旬には、原油価格の急落などを受けて反落する場面もありましたが、米国政府による追加経済対策や、経済活動再開への期待などから月末にかけて上昇し、月間でも大きく上昇しました。

一方、世界の国債市場は、米国の新規失業保険申請件数など経済指標は全般に大幅な悪化を示したこと、原油余剰感を背景に原油価格が急落したこと、欧州中央銀行(ECB)やFRBが流動性供給などにより金融緩和姿勢を維持したことなどから上昇(利回りは低下)し、月を通しても上昇(利回りは低下)しました。

ドル・円為替市場は円高・ドル安が進行しました。月初、欧米の一部地域で新型コロナウイルスの感染拡大ペースが減速するとの期待から一時的に円安・ドル高局面がありました。しかし、米国の雇用市場が急速に縮小する懸念が高まるなど米経済指標の悪化が続いたこと、米連邦準備制度理事会(FRB)が財政政策の後押しを受け流動性供給を積極化させた一方で、日銀の金融政策は欧米と歩調を揃えたにとどまったことなどを受け円高・ドル安に転じました。月を通せばドル・円為替市場は円高・ドル安となりました。

当ファンドの基準価額動向をみると、これまで2019年年初来、2020年2月半ばまでは緩やかながらも上昇基調が続いてきました。しかし、その後、3月後半にかけては新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受けて、世界の金融市場が大きく変動するなか、当ファンドの基準価額も下落しました。足元では、3月23日を底に反発の兆しもみられています。当ファンドにおいても、株式市場の戻りを背景に、基準価額は回復しつつあります。

主な投資行動: 債券の組入れ引き上げ、株式は長期テーマに注目

債券の組入れを引き上げ、株式や現金の構成比率を一部削減しました(図表4参照)。

債券部分では、中期から超長期にわたって米国国債の現物と先物を購入し(図表5の①)、ポートフォリオのデュレーションを長期化したことに加え、新興国債券(ドル建て)の一部を中国債券(現地通貨建て)にシフトしました(同➁)。中国債券(現地通貨建て)は他資産との低い相関関係を背景に高い分散効果が期待できる他、利回り水準の高さから投資妙味が高いものと考えます。また、グローバル転換社債型新株予約権付社債や欧州短期社債、欧州社債(同③)を新たに購入するなどしました。

株式部分では、ポートフォリオにおける長期的な成長テ-マを分散させる為、世界環境関連株式を一部売却し、5G関連や電子決済関連の個別銘柄バスケットに新たに投資を開始しました(同④)。また、日本株式や新興国株式などの景気敏感な市場の株式も一部売却しました(同➄)。

オルタナティブ部分では高い分散効果を評価し、金の買い増しを行った他、VIX指数先物を新たに組入れるなどしました(同⑥)。

          

基準価額の変動要因: 株式市場の戻りを受けて、株式が大きくプラスに貢献

このような環境下、株式市場の戻りを背景に、株式が基準価額に大きくプラスに寄与した他、債券やオルタナティブもプラスに寄与しました。
株式部分では、金鉱山株式や世界環境関連株式などを含む世界株式の寄与が大きくなりました(同➆) 。
債券部分では、米国超長期国債(物価連動)などの先進国国債が主なプラス要因となりました(同⑧)。
オルタナティブ部分では、金などがプラスに寄与しました(同➈)。

株式:最良の選択はディフェンシブ・セクター

株式市場の動揺は、数週間続きました。
S&P500種株価指数は、1ヵ月強のうちに30%以上の下げに見舞われたものの、3月23日の底値から30%以上の反発を見せており、アジアや欧州の多くの株価指数と同様、少なくともテクニカル面では、強気相場圏に復帰しています。とはいえ、目のくらむような上げ相場が展開されても株式に強気になれるわけではありません。短期的に株式に慎重な姿勢を維持するのは、市場が景気回復のスピードを過大評価しているように思われるためです。

市場のコンセンサス予想は、企業の業績予想が今年(2020年)は10%以下の減益に留まり、来年(2021年)は強い景気回復が見込まれるとしていますが、こうした見方は楽観的過ぎると考えます。

ピクテのモデルは、今年の1株あたりの利益(EPS)と配当が40%前後落ち込むことを予測しています(図表6参照)。2008~2009年のグローバル金融危機時のEPSはピクテの今年の予想と同程度の落ち込みとなりましたが、(世界が対応に苦慮する)足元のリセッションは、当時のリセッションの3倍~4倍に達するのではないかと懸念されます。

株式については、ディフェンシブ(景気変動に左右されにくい)な特性を備えた市場とディフェンシブ・セクターを選好します。

地域別では、スイスなどが注目されます。スイスは、ディフェンシブ・セクターの組入れが主要な株式市場の中で最も高い市場です。スイス株式のベンチマーク指数では、時価総額全体の60%以上を医薬品や生活必需品等のディフェンシブ銘柄が占め、その大多数が、コロナ危機下、市場全体を上回るリターンを上げています。 米国は、12ヵ月先の利益予想を用いて算出した株価収益率(PER)は、3月下旬の13倍台から4月末には19倍台と18年ぶりの水準に上昇しており(図表7参照)、世界の市場の中で最も割高な市場の一つとなっています。
投資家は、米国企業の迅速な回復を見込んでいますが、今後数ヵ月については、株式アナリストの利益予想の下方修正が相次ぐと思われます。

新興国株式については慎重な見方に転じています。中国および近隣諸国の経済活動は緩やかながら正常化に向かっていますが、ラテンアメリカはウイルス危機の最中にあります。また、資源輸出に過度に依存し、新型コロナウイルス発生前から厳しい経済試練に直面していたことが懸念されます。ブラジル等の一部の国は、巨額の対外債務と慢性的なインフレのため、経済危機対策が限られます。

業種別では、一般消費財サービス・セクターが注目されます。アジアやその他主要経済圏の消費者が何週間もの都市封鎖が解除された後、徐々に支出を増やしていくと思われるからです。

債券: 中央銀行による市場の下支え

新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)が経済に及ぼす影響を抑えるために世界の中央銀行が行っている巨額の資産購入は、先進国ソブリン債および社債市場の強い下支えとなっています。

世界の中央銀行は、前例のない巨額の資金を金融システムに注入しています。2019年末以降、FRBだけでGDP比500ベーシス・ポイント(5%)相当の金融緩和を行っており、半分弱が利下げを通じて、残りの半分強が資産購入の形で行われています(図表8参照)。FRBは、必要ならば、追加緩和を行う態勢を整えています。ピクテのモデルは、同900ベーシス・ポイント(9%)の利下げ相当の金融緩和が行われる可能性を示唆していますが、これは、(グローバル金融危機を含む2014年までの)7年間に行われた金融緩和の総額を上回ります。

その他の中央銀行には、FRB程の手立てはなかったかもしれませんが、あらゆる面で対策が打たれています。
欧州中央銀行(ECB)を例に取ると、ユーロ圏加盟国国債の今年(2020年)の純新規発行額の90%以上はECBが買い入れることになります。

中国人民銀行は、(2008~2009年の)グローバル金融危機時ほどの大型対策は打っていませんが、信用供与の形の景気刺激は、グローバル金融危機以降、最大規模のGDP比9%に相当するものです。

世界の中央銀行は、社債市場の支援策も導入しています。FRBは、米国の投資適格企業の今年(2020年)の資金調達ニーズの70%強に相当する社債を買い取り、更には、ECBともども、これまでタブー視されてきたハイイールド債の一部の購入に踏み切っています。

金は引き続き注目です。世界各国の巨額の財政刺激により、将来、いずれかの時点でインフレ率が上昇する状況も予想されますが、投資家は、経済の麻痺的状況がもたらす損失の程度を見極めようとしており、目先はデフレを懸念しているようにも思われます。このような投資環境は、貴金属等の安全資産を下支えます。

今後の 運用方針

世界各地でロックダウン解除に向けた動きが見られているものの、性急な経済活動再開による新型コロナウイルスの感染再拡大の可能性も指摘されており、先行きを見通しにくい環境が持ち越されています。

また、各国で打ち出されている大規模な金融・財政政策が世界経済や業績の下支え役となっており、足元の金融市場の安定化に大きく貢献していますが、依然として2020年の世界の企業業績予想は少なくとも10%の減益が見込まれ、潜在的な下振れリスクも根強くあることから、予断を許さない状況が継続するものとみています。

バリュエーションの観点からは、足元の株式市場における戻り相場を受けて株式の割安感は後退しましたが、債券と比較すれば依然魅力的な資産クラスであると考えています。ただし、先行き不透明感が高いことから、短期的には株式に対する慎重な見方を継続し、引き続きディフェンシブ性の高い銘柄や長期的な利益成長が期待される銘柄を選好していきます。

また、景気敏感セクターでは、経済活動再開による恩恵を受けやすい銘柄には目を向け始めていますが、コロナ問題による影響が深刻な銘柄については引き続き慎重にみています。

債券では、引き続き投資適格社債を選好していきます。

また、金は高い分散効果が期待されることなどから引き続き保有を継続します。

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