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コロナショックに相対的に強い公益銘柄に注目
2020/05/28

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概要

新型コロナウイルス感染拡大のペースが鈍化し、主要国の都市封鎖などが解除される方向に向かってはいるものの、感染拡大の第2波への懸念もあり、依然として企業業績への不透明感が高い状態が続いています。こうした環境下では特に規制下の事業費率が高く、景気の影響をより受けにくく、収益の見通しが安定した公益銘柄が注目です。



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引き続き、世界の公益企業の業績は相対的に底堅く推移

世界の公益企業の利益(一株あたり利益前年比、過去12ヵ月実績、12ヵ月先予想)は、足元では2%超の増益実績と約5%前後の増益が予想がされています。世界の企業では過去12ヶ月間の実績でおよそ-12%の減益となり、今後も減益が予想されるなか、公益企業の業績は底堅く推移しています。※世界の公益企業:MSCI世界公益株価指数構成銘柄、世界の企業:MSCI世界株価指数構成銘柄 出所:I/B/.E/S、リフィニティブ

地域別では、米国の規制下の公益事業では一定の利益を確保で出来るように、公共料金が決定されています。また、米国では再生可能エネルギーや送配電網の設備投資の拡大が予想されています。資産規模の拡大は公共料金算定する基礎(料金ベ-ス)の増加となり。利益増要因となります。このため増益予想が下振れするリスクは少ないと考えます。

欧州の公益企業も同様に、増益が期待されます。ただし、政治リスクの大きい英国やイタリア、規制リスクが懸念されるスペイン、フランスに関しては不透明感が高いことから、注意が必要と考えます。

新型コロナウイルス感染拡大のペースが鈍化し、主要国の都市封鎖が解除される方向に向かってはいるものの、感染拡大の第2波への懸念もあり、依然企業業績への不透明感が強い状態が続いています。

こうした環境下では、特に公益のなかでも規制下の事業費率が高く、景気の影響をより受けにくい住宅向け供給比率が高い公益企業など、収益の見通しが安定した銘柄が注目されます。

リーマン・ショック時などの景気後退期でも安定した配当を継続してきた企業に注目

今回は、当ファンドの保有上位10銘柄中、4月中旬以降決算を発表したセンプラ・エナジー、ネクステラ・エナジー、ドミニオン・エナジーを紹介します。この3社は安定した規制下事業の収益を背景に、景気後退局面でも、公益企業のなかでも特に安定した配当を継続してきた企業です。とりわけ、リーマンショックなど過去の景気後退期でも、安定した配当を継続してきました。今回のコロナショックの局面でも、業績は底堅く、増益・増配見通しを継続して発表しています。 足元でも、安定した配当を継続するなか、株価の下落を受けて、配当利回りは大きく上昇し、魅力が高まりました。


センプラ・エナジー(米国、総合公益事業)

【会社概要】 エネルギー・サービスの持株会社。米国カリフォルニア、テキサス州やメキシコの規制下事業と、ルイジアナ州で液化天然ガス(LNG)の輸出ターミナル事業を行う。

【注目ポイント】 カリフォルニア州の規制下事業では、規制当局からの料金ベースでの認可が想定以上の高い伸びで、認可ROEも底堅く良好な結果。同事業の安定成長が期待される。 2020年および2021年の利益予想は上方修正される可能性を示唆。

センプラ・エナジーは、カリフォルニア、テキサス州やメキシコの規制下事業と、ルイジアナ州で液化天然ガス(LNG)の輸出ターミナル事業を行っています。 同社は業績ガイダンス範囲(2020年の一株当たり利益6.70-7.50ドル)の上半分の水準の利益が期待できるだろうと示しました。また、この夏の業績予想の見直しにより、2020年および2021年の利益予想は上方修正される可能性を示唆しました。これは、新型コルナウイルス感染拡大で企業業績が低迷するなか、ポジティブな内容です。

電力料金決定のベースとなる資産残高(料金ベース)の拡大は利益にプラスに寄与し、同社はカリフォルニア州からの料金ベースの認可結果は想定以上に高い伸びで、また認可ROE(自己資本利益率)も底堅く良好な結果だとしています。同社の利益は、同社の事業地域の電力やガス需要によって大きく変化することはないということを示しています。つまり、同社の業績はカリフォルニア州の景気とは連動していないということです。

テキサス州での事業に関しては、同地域では(工業向けの比率が高いことから)電力需要が、景気に左右されにくいとはいえませんが、顧客の大幅な需要減も、規制事業の仕組み(一定の利益を確保できる料金設定が可能)により利益へのマイナスの影響は緩和されています。 また、テキサス州の石油やガス企業は、もともと自家発電を行う企業が多く、同社の電力網を利用していないことなどを背景に、その電力需要減少の影響は限定的といえます。


ネクステラ・エナジー(米国、電力)

【会社概要】 再生可能エネルギーの世界的なリーダー。 傘下の事業会社を通じ米国フロリダ州を中心とする規制下事業とフロリダ州外での風力・太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー事業に注力。

【注目ポイント】 風力や太陽光発電コストの大幅低下の恩恵を受け増益・増配を達成。 一株あたり利益2021-2022年 年率+6-8%、増配2020年12%、2012-2022年年率10%を目指す。


ネクステラ・エナジーはフロリダ州の規制下事業および、北米最大の再生可能エネルギー発電事業を行っていますが、良好な決算を発表しています。

同社のおよそ70%の利益はフロリダ州の規制下事業(FP&L)からきています。例年より高い気温の影響もあり、電力需要は増加しており、感染拡大による電力需要への影響は限定的であるとしています。フロリダでは閉店している商用施設でも、湿度の高い気候のため、カビなどを防ぐためエアコンを稼動しておく必要があることから、感染拡大による商業用の需要への影響は限定的です。また、規制下事業の特性上、一定の利益を確保できる料金設定が可能です。つまり、利益は一定以上に減少することも増加することもない仕組みになっています。

このように、同社の利益は感染拡大の影響を受けにくいということが、決算の実績値や会社の業績ガイダンスが継続されていることでも確認できます。

同社のおよそ30%の利益は、再生可能エネルギー開発事業から成り立っています。同事業に関してはネクステラ・エナジーは強気な見通しを示しています。 ネクステラ・エナジーは再生可能エネルギー事業の最先端を行くリーティング企業なので、風力タービンや、ソーラーパネルなどの資材調達などには競合よりも優位性があります。また堅固な財務体質を武器に、資金調達面でも、競合よりも優位性が高く、低コストでの資金調達が可能です。 こうした高い競争力を背景に、同社は市場でのシェアを拡大し、多くの再生可能エネルギープロジェクトを受注しており、同事業の設備投資の拡大は当初計画よりも前倒しで進んでいます。


ドミニオン・エナジー(米国、総合公益事業)

【会社概要】 米国バージニア州リッチモンドに本社を置く米国公益事業大手。起源は米国の独立宣言の1787年にさかのぼり、本格的な電力事業参入は1909年と100年以上の歴史を有する。

【注目ポイント】 バージニア州では脱炭素を目指すクリーンエネルギー法が成立。同社はクリーンエネルギーの設備投資拡大を計画。 設備投資拡大による資産増加は規制下事業では利益増につながるため、今後15年にわたり安定した高い利益成長と増配が期待される。

ドミニオン・エナジーの規制下の公益事業は堅調です。バージニア州では、クリーンエネルギー法が可決され、2050年までに脱炭素を目指します。これにより、同社は今後長期間にわたり、安定した利益成長が実現可能になり、実現性の高い長期的な株主のリターンが期待できることとなります。

ドミニオン・エナジーの主な利益構成ではバージニア州の規制下事業の比率が高くなっています。バージニア州は工業向け顧客の比率が極めて少なく、一方、データセンター事業向けの比率が高くなっています。同社の顧客には、アマゾンやフェイスブックといったインターネット関連大手の大口顧客が名を連ねています。これらの企業の事業は感染拡大の際には、在宅時間の増加によるオンラインショピングの売上増などの恩恵を受けて堅調に推移しています。

このため、同社の電力需要は感染拡大によるマイナスの影響は受けていないとしています。実際に、季節調整後ベースで3月や4月の電力需要(前年同月比)は増加しています。仮に需要が減少したとしても、規制下では、需要の減少に応じて電力料金も調整できるなどの仕組みがあるため、利益への影響は限定的です。 また、2020年1-3月期の四半期決算発表時にドミニオン・エナジーはバージニア州でのクリーン・エネルギー事業拡大の長期計画の概要を示しました。同社はクリーンエネルギー技術の投資を5年間の設備投資計画に組入れました。 このため計画的な設備投資拡大による資産規模拡大は、規制下事業下においては利益増につながり、安定した配当増加が期待できることになります。


個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。


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