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- 米国による関税引き上げの可能性 ~インド経済と当ファンドへの影響について~
●トランプ関税問題、インドからの輸入に対して最大50%の関税率となる可能性
●インド経済全体への直接的な影響が限定的。しかし、投資家心理を冷やす可能性には警戒
●良好な企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)を有し、インド国内の需要増加から恩恵を受けると期待される優良企業の組入れを改めて強化
トランプ関税問題|インドからの輸入に対して最大50%の関税率となる可能性
トランプ米大統領は8月6日、インドがロシア産原油を直接または間接的に輸入しているとし、そのペナルティとして、インドからの輸入品に対して25%の追加関税を課す大統領令に署名しました。これまでに発表されている25%の相互関税とあわせて、インドからの輸入品に対し最大50%の関税が課される見通しです。
インドと米国の間では貿易交渉が進行中ですが、仮に25%の追加関税が課され、最大50%の関税率となった場合、日本、英国、ベトナム、インドネシアなどに適用されている関税率を大きく上回ることになります。インドと米国の間での貿易交渉が最終的な合意に至れば、関税率は引き下げられる可能性はありますが、現時点では両国とも強硬な姿勢を崩していません。25%の追加関税は8月27日に発効する予定であり、それまでの交渉の進展状況を注視していく必要があると考えています。これまで米国と合意に至った国・地域の例をみれば、急展開をみせる可能性もあります。
インド経済全体への直接的な影響が限定的。しかし、投資家心理を冷やす可能性には警戒
インドの対米主要輸出品には、医薬品、宝飾品、衣料品・繊維製品、スマートフォン、電子機器などがあります。医薬品に関しては、別の貿易ルールの対象となっているため、トランプ関税の影響についてはまだ明確になっていません。しかし、衣料品・繊維製品や電子機器などは、直接的な影響を受けると懸念されます。現在、米国が輸入する衣料品のおよそ3分の1をインドが供給しています。また、世界のスマートフォン生産におけるインドの役割は近年大幅に拡大しています。例えば、インド製のiPhoneは現在、世界の生産量の17%を占め、2025年末までに25〜30%に達するとも予想されていました。
インド経済全体を考えれば、直接的な影響は限定的であるとみています。インド経済の成長は、財の輸出に大きく依存していないためです。
しかし、もちろんグローバル貿易の影響を受けるセクターの企業は直接的な影響を受けるほか、また、米国の輸入先として、中国から他への移管が進む中で、インドが恩恵を受けるという期待が後退する可能性もあります。こうしたことは、投資家心理にマイナスの影響を与える可能性もあり、インド株式のバリュエーション(投資価値評価)に対して下押し圧力となることも警戒されます。
良好な企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)を有し、インド国内の需要増加から恩恵を受けると期待される優良企業の組入れを改めて強化
当ファンドの投資先企業の選定では、インド国内の成長の恩恵を受ける分野の企業を選好しており、こうした企業は米国への輸出に大きく依存していません。2025年7月末時点の組入企業全体の収益構造をみると、米国事業からの収益は10%を下回ります。しかも、このうちの大部分はITサービス企業における米国事業の収益が占めています。ITサービスは現時点では、関税の影響を受けない分野です。医薬品企業についても、現時点ではトランプ関税の影響を受けていないほか、当ファンドが選好するのは、インド国内のニーズをとらえる企業です。
当ファンドの投資先企業については、現時点では、トランプ関税による影響は限定的ですが、インド株式市場全体の流れの中で、株価は大きく変動する可能性もあります。
現時点では不確実性が多く残るため、良好な企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)を有し、インド国内の需要増加から恩恵を受けると期待される優良企業の組入れを改めて強化する方針です。また、高バリュエーションの優良企業については、市場全体の流れを受けて株価が下落した場合、良好な投資機会となる可能性もあるため、組入れを検討してく方針です。
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