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プレミアム・ブランド|力強い回復と期待が引き続き追い風
2021/11/05

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概要

2021年8月に中国政府が高所得層への規制強化の方針(「共同富裕」戦略)を発表しました。これを受けて、特に、ラグジュアリー・ブランド企業の株価は一時大きく下落しました。その後、発表された関連企業の決算で力強い需要回復が継続していることが示されたことなどから、株価は反発しています。さらに、新型コロナウイルスのワクチン接種拡大により、移動・渡航制限が徐々に緩和されており、旅行・レジャー関連のプレミアム・ブランド企業の業績回復につながるとの期待が高まっています。



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良好な業績動向を再確認。ラグジュアリー・ブランド企業の株価は反発

2021年8月17日に中国政府は、「高所得の規制・調整を強化するとともに、法に沿った所得を守り、過度な所得を合理的に調整し、高所得層と企業に社会への還元を増やすよう促す」方針(いわゆる「共同富裕」戦略)を発表しました。これを受けて、富裕層への課税強化やその他の締め付けが導入される可能性や、それによってプレミアム・ブランド商品・サービスの需要にマイナスの影響があると懸念する見方が強まりました。特に、ラグジュアリー・ブランド企業の株価は、相対的に大きくマイナスの影響を受けました。

しかし、2021年10月以降、複数のラグジュアリー・ブランド企業から、良好な直近四半期決算が発表されています。こうしたことが力強い追い風となり、ラグジュアリー・ブランド企業の株価は反発がみられました。

中国の「共同富裕」戦略は、富の再分配により貧困をなくし中間所得層を拡大するなど、格差是正に向けたものです。「共同富裕」戦略が推し進められていく中で、“超”富裕層にはマイナスの影響が出る可能性はあるかもしれません。一方、中国におけるプレミアム・ブランド需要を大きくけん引している中間所得層に対する影響は限定的であるとみています。当面は、こうした政策動向を巡る思惑から株価が大きく変動する可能性は残りますが、中長期的にみれば、「共同富裕」戦略により、中間所得層の購買力がさらに向上することで、プレミアム・ブランド需要拡大の後押しとなる可能性もあると考えます。

経済活動・社会生活の正常化で恩恵が期待される旅行・レジャー関連

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、世界規模で人々の移動・渡航制限が行われてきましたが、2020年後半以降、新型コロナウイルスワクチンの開発・実用化により、経済活動や社会生活の正常化に向けた希望の光が見え始めました。その後、実際にワクチンの接種が拡大し、先進国を中心に移動・渡航制限の緩和が段階的に行われています。

特に、プレミアム・ブランド商品やサービスの需要に影響がある海外旅行の動向をみると、依然として自由に海外旅行ができる環境ではないものの、渡航制限や検疫措置などが段階的に緩和されており、最悪期を脱しつつあるとみられます。今後、さらに制限措置が緩和されていくことで、より多くの人々が、海外旅行の機会を増やしていく可能性が高いと考えられます。

海外旅行需要が回復に向かうことで、ホテルやクレジット・カードなどのプレミアム・ブランド企業の業績も改善が期待されます。2021年8月の中国政府からの「共同富裕」戦略発表時点でも、これらの企業の株価は概ね底堅く推移しました。

また、化粧品や高級酒を手がけるプレミアム・ブランド企業にも恩恵がもたらされると期待されます。海外旅行需要の回復は、化粧品や高級酒などの免税品販売の回復につながるためです。また、レストランやバーの営業再開・制限緩和に加えて、結婚式や各種パーティーといったソーシャル・イベントの開催が復活することで、メイクアップをして外出する機会、高級酒を楽しむ機会が増えていくものと考えられます。



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