Article Title
直近決算が示す、底堅いプレミアム・ブランド需要
2024/02/22

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー

概要


●2024年年初来のプレミアム・ブランド企業の株価は上昇。直近決算で底堅いプレミアム・ブランド需要が示されたことなどが背景。ただし、分野・企業間格差もあり、銘柄選別が重要に。
●富裕層の顧客の存在や、アジア新興国の消費者の購買力向上などを背景に、中長期的にプレミアム・ブランド需要の拡大が期待できるとの見方には変わりはない。



Article Body Text

2024年年初来の当ファンドのパフォーマンス

2024年年初来、足元(2024年2月16日)までの、当ファンドの分配金再投資後基準価額は+9%の上昇となりました。投資先であるプレミアム・ブランド企業の株価が上昇したことによる株式要因のプラス寄与に加えて、主要通貨に対して円安が進行したことによる為替要因のプラス寄与からも恩恵を受けました。また、同期間における先進国株式(MSCI世界株価指数、円換算ベース)(+10%)と同程度の上昇率となりました。

2024年年初来の世界の株式市場は、欧米の中央銀行が利下げ転換するとの期待や、米国経済のハードランディング(景気の急激な失速)回避の見方などを背景に、上昇基調にあります。特に、情報技術やコミュニケーション・サービスセクターのハイテク銘柄の株価上昇が相場をけん引しています。

当ファンドの投資対象であるプレミアム・ブランド企業は、「消費関連」銘柄です。そのため、株式市場におけるハイテク・ブームの流れとは関連が薄いと考えられますが、2024年年初来のプレミアム・ブランド企業の株価も、上昇しています(2024年2月16日時点)。こうした背景の1つには、プレミアム・ブランド企業から発表された直近決算において、概ね底堅い需要が続いていることが示されたことがあると考えられます。

直近決算が示す、底堅いプレミアム・ブランド需要


これまでに発表されているプレミアム・ブランド企業の直近決算からは、概ねプレミアム・ブランド商品やサービスに対する底堅い需要が続いていることが示されています。ただし、分野ごと、さらには銘柄ごとに強弱もあることから、今後の動向を注視していくことが必要であると考えられます。


高級ブランド|強力なブランド力を有する企業に限れば、引き続き堅調


高級ブランド企業の中では、より強力なブランド力を有する企業が良好な決算を発表しました。具体的には、「カルティエ」や「ヴァンクリーフ&アーペル」などを傘下に有するフィナンシエール・リシュモン(スイス)、「ルイ・ヴィトン」や「クリスチャン・ディオール」などを傘下に有するLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(フランス)のほか、エルメス・インターナショナル(フランス)、フェラーリ(イタリア)などの高級ブランドの中でも、よりハイエンドの商品を提供する企業です。相対的に富裕層の顧客を多く抱えるほか、多くの消費者を惹きつけてやまない憧れの「ブランド」でもあります。

一方、バーバリー・グループ(英国)は、2023年10-12月期の既存店売上高が前年同期比-4%の減収と苦戦し、2024年3月期(通期)の利益見通しを下方修正したほか、2024年についても厳しい事業環境が続くとの見方を示しました。バーバリー・グループは高級ブランドの中でも、前述のハイエンドの商品を提供する企業に比べると、価格帯が低く、顧客層の裾野はより広いといった違いがあります。こうした違いが、好決算の流れに追随できなかった要因の1つであると考えられます。

トラベルおよびレジャー関連|中国をはじめアジア地域の回復がけん引

トラベルおよびレジャー関連企業からは、依然として旺盛なトラベル・レジャー需要があることが示されました。トラベル関連の代表格であるホテル運営企業からは、中国をはじめとしたアジアの需要が大きく回復していることが示されました。一方、2024年以降は、コロナ・ショック以降これまでの数年間にみられた急回復局面から、正常化に向かう中で増収・増益率はこれまでに比べると緩やかなものになるとの見方が強まっています。

しかし、アジア・パシフィックをはじめ世界の海外旅行者数はコロナ前の2019年の水準を下回る水準にあり、回復余地は依然として残されていると考えられます。さらに、「モノ消費」だけでなく、体験・経験の価値を重視する「コト消費」の拡大あるいはシフトといった消費トレンドを受けて、トラベル・レジャー需要は中長期的にみても堅調な推移が期待できると考えられます。

スポーツ関連|企業間格差が鮮明に

スポーツ関連のプレミアム・ブランド企業のうち、ナイキ(米国)、アディダス(ドイツ)、プーマ(ドイツ)などが発表した直近四半期決算では、業績の回復は依然として途上であることが示されました。また、今後の見通しについても、多くの企業が世界の景気減速などを考慮し慎重な見方を発表しています。

一方、ルルレモン・アスレティカ(カナダ)は、2023年12月に発表した2023年8-11月期決算で、北米・海外市場ともに販売好調であることや高収益性が維持されていることを示しました。さらに、今後についても新商品投入や海外出店拡大などにより中長期的な成長が期待できるとしており、企業によって業績動向には格差があることが鮮明となっています。

化粧品関連|足元では厳しい環境も、各社は今後の成長に向けた動きを示す

化粧品関連のプレミアム・ブランド企業は、中国市場の回復の遅れやトラベル・リテール関連の低迷といった厳しい環境に直面しています。

足元では厳しい環境ではありますが、各社は今後の成長に向けた動きをみせています。ロレアル(フランス)は、高級ブランドであるプラダ(イタリア)傘下の「ミュウミュウ」のビューティー製品の開発と販売に関して、全世界での長期ライセンス契約を結ぶ(2024年2月9日発表)など、高級ラインの拡充を強化しているほか、中長期的な成長市場としての位置付けに変わりがないとし、中国市場への投資を継続する方針を示しています。一方、エスティ ローダー(米国)は、収益性改善に向けた事業改革を断行することを発表しています。

“プレミアム・ブランド”を、しっかり「選別」することが重要な局面に

プレミアム・ブランド企業は、他の企業が簡単に真似することができない商品・サービスを提供し、主な顧客は、富裕層やよりよいモノやサービスを熱望する消費者です。こうした点で、一般的な消費財・サービスとは一線を画していると考えられます。

しかし、プレミアム・ブランドとは、「エルメス」、「ルイ・ヴィトン」、「フェラーリ」などの超高級ブランドだけではなく、スポーツ、化粧品、食品・飲料(酒類)など幅広い消費セクターに存在し、各分野によっても異なる特色があります。また、同じ分野の中でも、すべての企業が優れたオペレーションが実行されているわけではなく、価格決定力を低下させている企業も存在します。


このため、投資先企業の選定に際しては、単純に北米や中国といった地域別の市場動向だけではなく、各プレミアム・ブランド企業の事業分野やビジネス・モデルをしっかり把握し、選別していくことが必要になると考えます。直近決算においても、分野間、企業間格差があることが示されました。

また、在庫管理が改善し、底堅い成長が期待できるプレミアム・ブランド企業の中には、同業他社に比べて、バリュエーション(投資価値評価)水準が割安で、市場から見過ごされているとみられる銘柄も散見されます。こうした企業の株式については、良好な投資機会となる可能性もあると考えています。

短期的には、世界経済の先行き不透明感や足元の中東情勢の緊迫化など地政学リスクの高まりなど、プレミアム・ブランド企業の業績や株価動向にマイナスの影響を及ぼす懸念材料は完全には払しょくされていませんが、中長期的にみたプレミアム・ブランド企業の株式への投資の魅力には変わりがないと考えています。

ファンドの運用に際しては引き続き、消費者の「羨望の的」となるような強力で魅力的なブランド力を確立している企業の中から銘柄をしっかり選別した上で投資を行っていく方針です

※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。

魅力的な足元のバリュエーション水準の銘柄も

足元のプレミアム・ブランド企業の株式のバリュエーション(投資価値評価)水準をみると、過去10年間の平均を下回っている、あるいは平均近辺にとどまっている企業が散見されます。世界的にインフレが落ち着き、欧米などの金融当局による金融引き締め姿勢が後退し、利下げへと転換した場合には、消費者心理は大きく改善し、プレミアム・ブランド商品・サービス需要拡大が後押しされると考えられます。また、中国についても、当局による景気刺激策などを受けて景気はいずれ回復に向かうと予想されます。

こうしたシナリオと足元のバリュエーション水準を考慮すると、プレミアム・ブランド企業への良好な投資機会になる可能性もあると考えています。

さらに中長期的にみれば、比較的景気変動の影響を受けにくい富裕層の顧客は、プレミアム・ブランド商品・サービス需要を支える存在でありつづけると期待されます。さらに、購買力を高めつつある消費意欲旺盛なアジア新興国の中間所得層の拡大は、今後も中長期的に、プレミアム・ブランド商品・サービスの需要拡大をけん引すると期待されます。

※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。


●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。

お申込みにあたっては、交付目論見書等を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
投資リスク、手続き・手数料等については以下のファンド詳細ページの投資信託説明書(交付目論見書)をご確認ください。

ピクテ・プレミアム・ブランド・ファンド(3ヵ月決算型)



関連記事


日付 タイトル タグ
日付
2024/09/27
タイトル 中国の景気下支え策発表を受けて、株価は反発 タグ
日付
2024/08/27
タイトル ブランド|直近四半期決算の動向と当ファンドの組入れ状況 タグ
日付
2024/08/20
タイトル ブランド|足元の基準価額動向と今後の見通し タグ
日付
2024/07/25
タイトル ファンド・マネージャーの視点|高級ブランド企業の成長率は「正常化」 タグ
日付
2024/07/23
タイトル ファンド・マネージャーの視点|銘柄間格差の拡大~銘柄選別の重要性が高まる局面 タグ
日付
2024/06/20
タイトル ブランド|景況感とプレミアム・ブランド企業の株価の関係 タグ
日付
2024/06/14
タイトル 変化する旅行の在り方~「ブレジャートラベル」需要の拡大 タグ
日付
2024/06/12
タイトル プレミアム・ブランドにおける「イノベーション」とは?~技術革新の話ではない~ タグ
日付
2024/05/28
タイトル ブランド|株価の下支えとなる4つのポイント タグ
日付
2024/03/28
タイトル ファンド・マネージャーの視点| ケリングの業績低迷は、高級ブランド企業全般に及ぶ問題ではない タグ
日付
2024/03/25
タイトル ブランド|人々から熱望され続ける、プレミアム・ブランド タグ
日付
2024/01/05
タイトル ブランド|2024年、プレミアム・ブランドを支える3つのポイント タグ
日付
2023/11/13
タイトル ブランド|強弱はあるものの、概ね底堅い業績動向 タグ
日付
2023/10/12
タイトル ブランド|プレミアム・ブランド企業の足元の株価動向 タグ
日付
2023/08/18
タイトル ブランド|堅調な業績動向。今後は海外旅行の回復に期待 タグ
日付
2023/07/21
タイトル ブランド|設定来で先進国株式を上回るパフォーマンス タグ
日付
2023/06/15
タイトル ブランド|プレミアム・ブランド、特徴と投資対象としての魅力 タグ
日付
2023/06/05
タイトル ブランド|ファンド・マネージャーの視点~足元のプレミアム・ブランド企業の株価動向について~ タグ
日付
2023/05/26
タイトル ブランド|2023年1-3月期は好決算。今後の成長にも期待 タグ
日付
2023/04/17
タイトル ブランド|決算で示されつつある、中国のプレミアム・ブランド市場の回復 タグ
日付
2023/04/04
タイトル ブランド|引き続き、相対的に高い利益成長期待 タグ
日付
2023/03/17
タイトル ブランド|ファンド・マネージャーの視点~2023年を注目の年と考える理由 タグ
日付
2023/03/02
タイトル ブランド|業界専門家からのアドバイスを活用 タグ
日付
2023/03/01
タイトル ブランド|「中国の経済再開」をより意識した、ポートフォリオに タグ
日付
2023/02/24
タイトル 回復に向かう、世界の旅行需要 タグ
日付
2023/02/22
タイトル 中国の経済再開で、期待が高まるプレミアム・ブランド タグ
日付
2023/02/21
タイトル ブランド|中国の経済再開で動き出す、中国の消費パワー タグ
日付
2023/02/03
タイトル ブランド|2023年の展望、中国の経済再開で需要の本格回復に期待 タグ
日付
2023/01/20
タイトル ブランド|中国の経済再開による恩恵を享受 タグ
日付
2022/12/22
タイトル ブランド|不透明な市場環境の中、注目される 「価格決定力」 タグ
日付
2022/11/02
タイトル ブランド|一般的な消費財企業とは一線を画す、「ダイヤモンドの原石」 タグ
日付
2022/10/12
タイトル ブランド|市場全体の流れの中で、一段の下落に警戒しつつも、その後の反発に期待 タグ
日付
2022/08/25
タイトル ブランド|利益回復期待が高まる、トラベルおよび レジャー関連分野のプレミアム・ブランド企業 タグ
日付
2022/07/27
タイトル ブランド|相対的に高い利益成長力。過去の反発局面では、力強い株価上昇 タグ
日付
2022/06/17
タイトル ブランド|世界的な株安の影響を受けるも、長期的な成長見通しに変わりなし タグ
日付
2022/05/30
タイトル ブランド| 経済活動の正常化の流れが、株価の下支えに タグ
日付
2022/03/24
タイトル プレミアム・ブランド|経済正常化の一段の進展が支えに タグ
日付
2022/02/25
タイトル プレミアム・ブランド|ウクライナ情勢の影響 タグ
日付
2022/02/21
タイトル プレミアム・ブランド|引き続き、経済正常化の流れが追い風 タグ
日付
2022/01/06
タイトル プレミアム・ブランド企業の強力な「価格決定力」 タグ
日付
2021/12/17
タイトル コロナ・ショックを経ても変わらぬ、ブランドの魅力 タグ
日付
2021/11/29
タイトル 新たな変異株出現でも、プレミアム・ブランドの魅力に変化なし タグ
日付
2021/11/05
タイトル プレミアム・ブランド|力強い回復と期待が引き続き追い風 タグ
日付
2021/10/01
タイトル プレミアム・ブランド企業を取り巻く事業環境は引き続き良好 タグ
日付
2021/08/24
タイトル ここ最近の当ファンドの基準価額動向について タグ
日付
2021/07/16
タイトル インフレ懸念の高まりとプレミアム・ブランド企業の株価動向 タグ
日付
2021/06/28
タイトル 高い成長期待と「質」の高さに対するプレミアム タグ
日付
2021/06/17
タイトル 相対的に高い利益成長力が、株価を下支え タグ
日付
2021/05/11
タイトル 鮮明となりつつある、プレミアム・ブランドの「リベンジ消費」拡大の動き タグ
日付
2021/03/31
タイトル 個人消費回復と消費の二極化トレンドが追い風に タグ
日付
2021/03/22
タイトル 「リベンジ消費」期待から復活の兆し、プレミアム・ブランド株式 タグ
日付
2021/03/04
タイトル 「リベンジ消費」拡大で恩恵を受けるプレミアム・ブランド タグ
日付
2021/02/18
タイトル 不透明感が残る市場環境下、「強力に利益を生み出せる力」が注目される可能性も タグ
日付
2021/02/16
タイトル 復活の兆しが見え始めた、プレミアム・ブランド株式 タグ
日付
2020/11/04
タイトル プレミアム・ブランド株式を取り巻く「今」:向かい風の中明るい兆しも タグ
日付
2020/08/19
タイトル 引き続き人々の「羨望の的」となるような強力なブランド力に注目 タグ
もっと見る