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- 2026年の展望 ~分散手段の1つとなる可能性~
●2025年の株式市場はAIブームが続くなか、当ファンドの投資先であるプレミアム・ブランド企業の株価は、AIとの関連性が薄い消費関連であることなどから出遅れ(12月10日時点)
●プレミアム・ブランド企業は、足元で業績回復の兆しなど明るい材料も散見
●ハイテク、米国に大きく偏ったポートフォリオに対する分散手段の1つとなる可能性も
2025年の株式市場|AIブームが続くなか、消費関連は出遅れ
世界のプレミアム・ブランド企業の株式に投資を行う当ファンドの分配金再投資後基準価額は、2025年年初来(12月10日まで)で+約3%となりました。円安・ユーロ高の進行などにより為替要因が大きくプラスになったほか、株式要因もプラスとなりました。
2025年の世界の株式市場は、4月月初にトランプ米大統領が相互関税を課すと発表したことを受けて大幅安となる局面もありましたが、その後はおおむね上昇基調が続きました(2025年12月10日時点)。トランプ関税を巡る不確実性や関税引き上げによる景気減速やインフレ再燃への懸念などのマイナス材料は依然として残るものの、米国をはじめ主要中央銀行の金融緩和やAI(人工知能)関連に対する楽観的な成長見通しなどが大きな追い風となりました。ただし、セクター別の株価の上昇率にはばらつきがみられます。AI関連銘柄が多いコミュニケーション・サービスや情報技術などの上昇率が大きかった一方、AIとの関連性が薄い銘柄が多い消費関連には、相対的に出遅れ感がみられました。
当ファンドの投資先であるプレミアム・ブランド企業は消費関連であり、AIブームを受けた株式市場の上昇の流れに乗ることができませんでした。また、輸出企業が多いためトランプ関税を巡る不確実性のほか、世界的に大きな消費市場である米国や中国の景気の先行き不透明感などが株価の重荷となり、先進国株式の平均に比べると、相対的に上昇率は小幅にとどまりました。
AIブームのなかで、特定のセクター・銘柄への集中が進む
ただし、足元では高値警戒感から高バリュエーション(投資価値評価)のハイテク銘柄を中心に調整する局面もみられ、AIブームを背景としたハイテク銘柄主導の株価上昇の継続性に対して、懸念する向きも出始めているようです。
先進国株式の代表的な株価指数である、MSCI世界株価指数の構成銘柄の状況をみると、セクター別では、情報技術の構成比率は上昇傾向にあり、足元では全体の3割弱を占めるまでに至っています。また、構成比率上位10銘柄をみると、足元では、ほとんどがAI関連として注目される銘柄が占め、さらに上位10銘柄の構成比率の合計は大きく上昇しており、上位銘柄への偏りが進んだことがわかります。
ハイテク、米国に大きく偏ったポートフォリオに対する、分散手段をご提供
AI関連に関しては、投資も継続されており、今後も成長が期待できる分野であるとみられますが、特定の人気セクターや銘柄へ集中しすぎると、価格変動リスクが大きくなることが懸念されます。リスクを低減するため、投資先のセクターや地域を分散することも検討すべき局面に差し掛かっている可能性もあります。
当ファンドの投資先であるプレミアム・ブランド企業は、AIとの関連性が薄い消費関連であり、また、地域でも欧州を起源とする企業が多く存在しています。足元では、プレミアム・ブランド企業の業績回復の兆しなど明るい材料も散見されはじめていることもあり(※4頁以降の「運用チームの視点|2026年を見据えた注目ポイント」も併せてご参照ください)、当ファンドは、ハイテク企業や米国企業に大きく偏ったポートフォリオに対して、1つの分散手段を提供できる可能性もあると考えられます。
【ご参考】 運用チームの視点|2026年を見据えた注目ポイント
1. 高級ブランド企業の業績改善期待の高まり
2025年には多くの高級ブランドで、過去数十年間で、最も多くの新しいクリエイティブ・デザイナーが就任しました。クリエイティブ体制の刷新により、新しい価値を生み出すことで、需要を喚起しようとする動きです。店舗づくりにおいては、ブランドの価値観を体感できるような、体験型の店舗や限定イベント開催などに力を入れる高級ブランド企業もありました。
また、経営不振に直面しているケリングでは、フランスの自動車メーカー、ルノーの経営再建に手腕を振るったルカ・デメオ氏が最高経営責任者(CEO)に就任し、負債圧縮とコスト削減に取り組み、再建を推し進めることを表明しました。こうしたガバナンスの刷新や、効率性・コスト管理の徹底、柔軟なオペレーション体制の構築などに努め、利益の出やすい体質を強化する動きもみられました。
世界最大の高級ブランド・コングロマリット企業であるLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンをはじめとした高級ブランド企業の2025年7-9月期の売上高では、高級ブランド需要の底打ちを示唆する内容の発表が多くみられました。今後、これまでの難局下で各社が取り組んできた様々な施策の効果が本格的に発揮されていけば、業績回復のさらなる追い風になると期待されます。
2. 堅調な米国の消費動向(特に富裕層)と、中国の高級ブランド需要に回復の兆し
米国では、労働市場の減速や景気全般への懸念などが、消費低迷につながるとの懸念がありますが、アメリカン・エキスプレスやVISAなどのクレジットカード企業の決算動向からは、底堅い消費動向が続いていることが示唆されています。特に、富裕層については、堅調であるとみられます。
富裕層のカード会員が比較的多いとみられるアメリカン・エキスプレスの2025年7-9月期決算では、米国の消費者による小売支出や旅行・エンターテインメント支出は底堅いことが示されました。
中国の景気動向には依然として不透明感が残りますが、プレミアム・ブランド商品に対する需要については、プレミアム・ブランド企業の決算動向から見る限り、最悪期を脱した可能性があると考えられます。
コロナ・ショック後のリベンジ消費局面ののち、中国におけるプレミアム・ブランド商品需要は低迷していましたが、中国の消費者が、価値ある商品を求める動き自体が消え去ったわけではありません。そうしたなかで、中国の市場・消費者の特性・嗜好をより重視し、それを反映したマーケティング戦略を模索する企業もみられました。一例には、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン傘下の「ルイ・ヴィトン」が、2025年6月にオープンした上海の“ザ・ルイ(The Louis)”と呼ばれる新店舗があります。この新店舗は、実物大のクルーズ船型の建物に、ショップのほか、カフェ(上海風料理と西洋料理を融合したメニューを提供)、展覧会スペースなどが併設され、革新性、創造性、芸術性、卓越性など、ルイ・ヴィトンの世界観を体験できる施設になっています。既に人気の観光スポット・フォトスポット化しており、週末になると数万人単位の来客があると伝えられています。集客効果や需要喚起効果は大きいようです。
3. バリュエーション面での相対的な魅力
プレミアム・ブランド企業は、相対的に高い成長が期待されています。そのため、株価収益率(PER)など株式のバリュエーション水準は、先進国株式に比べて高い水準で推移する傾向がみられてきました。2025年11月末時点の当ファンドの類似ファンドの組入銘柄における予想PERは25.7倍と、先進国株式(同19.0倍)に比べて高い水準にあります。
※文章中の予想PERは、2025年11月末時点でみた来年度(主に2026年)の予想PER(ファクトセット集計アナリスト予想値ベース)。当ファンドの類似ファンドは、当ファンドと同様の運用を行うルクセンブルグ籍ファンド(Pictet-Premium Brand)。当ファンドの類似ファンドの組入銘柄における予想PERは組入比率加重平均。先進国株式は、MSCI世界株価指数。
しかし、当ファンドの類似ファンドの組入銘柄における予想PERを先進国株式の予想PERで割った相対予想PERの推移をみると、過去の水準と比較して相対的な魅力が高まっていることが示唆されています。世界の株式市場では、AIへの期待などから、ハイテク銘柄などが投資家の注目を集める一方、プレミアム・ブランド企業の株価は出遅れてきました。
前述のように、プレミアム・ブランド企業の直近決算からは、業績回復の兆しを示す内容も散見されています。また、プレミアム・ブランド企業は、ブランド力を背景とした高収益性や強力なキャッシュフロー創出力を有しており、企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)が良好であるとの見方にも変わりがありません。
今後、世界経済の先行き不透明感や地政学リスクなど消費者心理を冷え込ませている懸念が後退していけば、バリュエーション面での相対的な魅力も相俟って、プレミアム・ブランド企業の株式が再評価される可能性はあると考えられます。
プレミアム・ブランド商品・サービスに対する人々の熱望が後押し
過去を振り返ると、プレミアム・ブランド企業の株価は、世界的な経済危機時や景気減速局面などで、大きく需要が減退するとの懸念などから、先進国株式に比べて大きく下落する傾向がみられてきました。しかし、その後の回復局面では、株価は相対的に大きく反発してきました。
経済の先行きに不透明感が強まる局面で、プレミアム・ブランド商品・サービスを買い控える動きが強まることはありますが、プレミアム・ブランド商品・サービスに対する消費者の熱望が完全に消え去るわけではないと考えます。プレミアム・ブランド企業が提供する商品・サービスは、幸福感や優越感といった特別な感情をもたらすものであり、人々を魅了してやみません。この点は、一般的な消費財やサービスとは大きく異なる特徴です。一時的に買い控えなどで需要が抑えられたとしても、潜在的な需要がいずれは顕在化すると考えられます。直近の典型的な例では、コロナ・ショック後のいわゆる「リベンジ消費」のような動きです。
今後も中長期的にみれば、プレミアム・ブランド商品・サービスに対する人々の熱望が、プレミアム・ブランド企業の売上・利益成長を後押しするものと予想しています。
ファンドの運用に際しては引き続き、消費者の「羨望の的」となるような強力で魅力的なブランド力を確立している企業の中から銘柄を厳選して投資を行っていく方針です。
【補足】 注目の消費トレンド
「体験」の追求
前述したルイ・ヴィトンの上海の新店舗のように、ブランドの世界観を体験できる店舗づくりは、消費者の関心を高め、需要喚起につながると考えられます。また、消費者は、プレミアム・ブランド企業が提供する商品を購入という商業的な行為を超えて、感情や意味、真正性などを求めています。こうした消費トレンドを受けて、高級ブランド企業のなかでは、世界的なスポーツ・イベントなどへの協賛を通じて、消費者に、ブランドの世界観や価値を体験してもらう機会を拡大しようとする動きが活発化しています。
トラベル関連分野では、全体としてはRevPAR(販売可能客室当たり収入)の伸びが低下するなかでも、ラグジュアリーなホテルブランドに関しては堅調であることは注目に値する動きと考えます。卓越したサービスとオーダーメイドのプログラム、魅力的なロイヤルティ・プログラムなどの相乗効果が奏功しているのではないかと考えられます。
「品質」重視の傾向
消費者がプレミアム・ブランド商品やサービスを選別する“眼力”はより研ぎ澄まされてきています。ブランドがもたらす感情や意味、真正性に加えて、革新性と創造性も重視されています。
こうした点で、消費者の関心を捉えられるプレミアム・ブランド企業(特に、高級ブランド企業)が、ブランド力をより強固なものとし、優位性を高めることができると考えられます。
ビューティー関連やスポーツ関連では、科学に基づくイノベーションや技術的な卓越性などが重要な要素になるとみています。
世界的に消費におけるプレミアム化の流れはさらに進んでいます。消費者は、たとえそれが非常に高価なものであっても、流行に流されず、時が経っても価値が変わらない、あるいは価値が向上するような、高品質の商品を求めています。エルメスの高級ハンドバッグ「バーキン」や「ケリー」、あるいはヴァン クリーフ&アーペルやカルティエなどの宝飾品などが好例です。
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