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2025年下期決算の展望 ~先行き不透明感が残るなかでも、注目すべき動き~
2025/09/29

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概要


●2025年上期のプレミアム・ブランド企業の決算は、トランプ関税を巡る不確実性や世界経済に対する懸念があるなかでも、おおむね底堅い内容 ●引き続き、先行き不透明感が消費者心理にマイナスの影響を及ぼしていることが懸念されるが、強さや好転を示す企業も存在。注目点は①「価格」に見合う、革新性と価値の提供、②低迷期からの好転



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2025年上期の決算動向|トランプ関税を巡る不確実性や世界経済に対する懸念があるなかでも、おおむね底堅い内容

2025年上期(主に1-6月期)のプレミアム・ブランド企業の決算動向は、トランプ関税を巡る不確実性や、関税による米国をはじめ世界経済へのマイナスの影響を懸念する見方が強まるなかでも、おおむね底堅い内容となりました。特に、高級ブランドのうち、より高価格帯の商品を提供する企業(例えば、エルメス・インターナショナル、フェラーリ、ブルネロ・クチネリなど)や、富裕層の会員が多いとされるアメリカン・エキスプレスなどからは、引き続き、堅調な決算実績が示されました。こうした企業は、景気変動に相対的に影響されにくい富裕層の顧客が多く、また、強力なブランド力を背景とした価格決定力により、利益率の大幅な悪化を避けることができると考えられます。

2025年下期の展望

足元では、地政学リスク、トランプ関税を巡る不確実性、さらには米国をはじめ世界経済の先行き不透明感は依然として払拭されていません。こうしたことが引き続き、消費者心理にマイナスの影響を及ぼしている点は、2025年下期(主に7-12月期)のプレミアム・ブランド企業の業績動向にとってマイナス材料になると懸念されます。

しかし、その一方で、強さや好転を示す企業もあるとみています。

注目点1.「価格」に見合う、革新性と価値の提供


大手高級ブランド企業の多くはコロナ禍以降、相次いで値上げを実施しており、多くの高級ブランド商品は、コロナ禍以前に比べてより高価なものとなりました。これにより、富裕層や熱狂的なブランドのファンといった固定客を除いて、一部では高級ブランド商品離れがみられました。一方、消費者は、「価格」に見合う、革新性と価値を見極めたうえで購入を決定する動きを強めており、この流れから恩恵を受けるプレミアム・ブランド企業も出現しています。

ハード・ラグジュアリー

1つ目は、高級ブランドのなかでも、宝飾品などの「ハード・ラグジュアリー」といわれる分野です。バッグやアパレルなどの「ソフト・ラグジュアリー」に比べると、「ハード・ラグジュアリー」はインフレに強いといわれ、価格に見合う価値があるとみなされているようです。

納得できる価格で「プレミアム」感を提供している、スポーツ関連ブランド

スポーツ関連ブランドの企業は、アウトドア・アクティビティやスポーツへの関心の高まりや、「経験」を重視する消費トレンドなどから恩恵を受けると期待されていますが、それに加えて、差別化され、革新的な商品を提供できる企業については、特に注目すべきと考えられます。こうした企業は、高級ブランド商品に比べると、もともと価格帯は手ごろであるほか、コロナ禍以降の値上げ幅も、高級ブランド企業に比べて大きくありませんでした。そのため、現在の「価格」設定は、革新性に基づいたものとみなされ、コストパフォーマンスの良い「プレミアム」感が得られると、消費者から認識されている模様です。

米国の高級ブランド企業が提供する、手の届くラグジュアリー

タペストリー(傘下には「コーチ」などがある)やラルフローレンといった、米国の高級ブランド企業は、欧州の老舗高級ブランド企業に比べると、手ごろな価格帯でありながら、質の高い商品を提供していることなどから、消費者の関心を惹きつけています。

また、2025年年初来の米ドル安傾向も、これらの企業の業績にとって追い風となっています。

タペストリーとラルフローレンの過去1年間の株価動向をみると、関税による景気減速が懸念される米国市場の消費関連銘柄でありながらも、堅調な需要を背景に米国株式市場の平均を上回って推移しています(2025年9月22日時点)。

注目点2. 低迷期からの好転

低迷していた中国市場で、明るい兆しがみられる分野・企業も

化粧品分野は、コロナ禍以降、在庫問題を抱え、特に中国市場の低迷が足かせとなっていましたが、足元でようやく改善の兆しも見え始めています。

ロレアルは、2025年4-6月期決算の発表において、低迷していた中国市場について前年同期比で増収に転じ、中国市場の底打ち・回復の兆しを示しました。

中国の高級ブランド市場は、景気の本格的な回復が遅れるなかで、特に大手高級ブランド企業において販売の低迷・伸び悩みがみられています。一方、タペストリーやラルフローレン、モンクレールなど、中国市場でも相対的に良好な販売動向を示している企業も存在します。今後、さらに幅広い高級ブランド企業で、中国市場の回復がみられるかについて、注意深くみていく必要があるでしょう。

転換期を迎える、老舗高級ブランド


2025年は、「グッチ」(ケリング傘下)や「ディオール」(LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン傘下)などの老舗高級ブランドは、転換期を迎えているといえるでしょう。過去数十年間で、最も多くの新しいクリエイティブ・デザイナーが誕生しています。新たに就任したデザイナーによる2026年春夏シーズンのコレクション発表は、この秋より本格化していきます。デザイナーの交代によって、ブランドに新しい価値がもたらされることも期待されます。

また、経営不振に直面しているケリングでは、2025年9月15日にルカ・デメオ氏が最高経営責任者(CEO)に就任しました。デメオ氏は、フランスの自動車メーカーであるルノーの経営再建に手腕を振るった人物として知られています。同氏は、正式就任直前のケリングの株主総会において、負債圧縮とコスト削減に取り組み、ケリングの再建を推し進めることを改めて表明しています。

足元では、業績が低迷している大手高級ブランド企業についても、好転の契機となりうる出来事は散見されています。今後、発表される決算内容などをしっかり確認しつつ、好転の兆しを見逃さないことが重要であると考えています。


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