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ラグジュアリーの再定義~高級ブランド企業の成長のカギは、伝統と新しいアプローチの融合~
2025/08/21

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概要

高級ブランド商品は、今もなお、世界の消費者の憧れの的であり、求められる存在であることには変わりがありません。そうしたなかで、高級ブランド企業は、これまでの伝統と新しいアプローチをうまく融合させていくことで、今後も持続的な成長が期待できると考えられます。



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加速するインクルーシブ化 ~一部の富裕層のものから、顧客層の裾野は拡大~

エトゥープのスムースなカーフスキンレザー、フラップトップ、そして象徴的なターンロック式留め具・・・エルメス・インターナショナル(フランス)を代表するバッグ「バーキン」のフランス本国での販売価格は1万ユーロ以上(日本での販売価格は180万円以上)と高価であるにもかかわらず、常に供給量を上回る購入希望者がいるために、手に入れるまでに数年待ちといわれています。1984年の発売以来、高品質な素材と職人技による耐久性の高さや、流行に左右されることがない圧倒的な存在感から、人々の憧れの的として君臨する超高級バックであり、資産価値があるとさえいわれています。

注:グレーとベージュを混ぜたような、上品なグレージュカラー。エルメスの代表色。

一方、エルメス・インターナショナルは、「ルージュ・エルメス」というリップスティック(口紅)コレクションも展開しています。ルージュ・エルメスのリップスティックは、フランス本国で1本70ユーロ強で販売されています(日本での販売価格は9,000円強)。

エルメス・インターナショナルをはじめとした高級ブランド企業は、高価格なバッグやアパレルだけでなく、化粧品や香水、スカーフなどのアクセサリー類などの手ごろな値段の商品も展開しています。こうした動きは、「インクルーシブ・ラグジュアリー」(従来のように一部の富裕層をターゲットとした高価格の商品・サービスの提供のみならず、より多くの人々が、それぞれの価値観やニーズに合わせて、高級ブランドの商品・サービスを楽しめるようにする)の考え方を反映したものです。

手ごろな価格帯の商品・サービスは、特に、若い世代の心をつかみ、顧客層を広げることにつながると考えられます。若い世代が、ブランドのファンとなり、顧客になれば、時を経てより高価格な商品を購入するようになることも期待できます。

若い世代に人気のある、バレンシアガ(ケリング傘下)やミュウミュウ(プラダ傘下)といったブランドは、より手ごろな価格のスカーフ、アクセサリー、ライフスタイル商品を提供しています。

化粧品や香水、サングラスなどのアクセサリー、あるいはウェルネス体験などは、手ごろな費用で、ちょっとした贅沢を体験する方法として、消費者から求められています。

よりいっそう高まる、デジタルツール活用の重要性

デジタルツールと伝統ある高級ブランドは、一見、相容れない存在のようにみえます。しかし昨今、高級ブランド企業が新たな顧客層を獲得する上で、デジタルツールの活用は、よりいっそう重要になっています。

 “体験”の提供

若い世代の顧客は、価格の手ごろさだけでなく、それぞれの価値観やニーズに合わせた対応を求める傾向もあります。彼らは、イニシャルや好きな言葉などのカスタマイズ刻印サービスなどのパーソナライゼーションだけでなく、SNSなどでブランドの世界観がつまったコンテンツを求めています。彼らは、商品を購入する際、ブランドの世界観を“体験”として感じたいと思っているのです。

高級ブランド商品は、依然として店舗で購入される場合が多いものの、購入に至るまでにはインターネット上で様々な情報収集を行っています。また、拡張現実(AR)を利用して、アパレルなどについては試着をすることも可能です。こうしたネット上での情報収集等は、商品の購入決定に大きく影響を与えているとみられています。

新たな顧客獲得にも貢献


デジタルツールの活用により、これまでとは異なる、新たな顧客層を開拓することも可能です。 米国出身の音楽界のスターであるファレル・ウィリアムスは、2023年にルイ・ヴィトン(LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン傘下)のメンズ・クリエーティブディレクターに就任しましたが、彼の最初のファッション・ショーはネット配信され、およそ10億人が視聴しました。これまで興味を持たなかった層も惹きつけ、新たな顧客獲得につながったと考えられます。

特に顧客が望んでいるのは、コミュニティ・コンテンツ(ブランドと消費者、あるいは消費者同士のつながりを意識したコンテンツ)です。例としては、スタイリングのヒントや、専門家や著名人など信頼できる人物による商品・サービスを推薦するコメントなどがあります。これは、若い世代だけでなく、幅広い世代に対しても重要なアプローチであるため、多くの高級ブランド企業は、世代別にモデルやブランド・アンバサダーなどを起用し、より多くの共感を獲得する工夫を凝らしています。

ただし、高級ブランド企業にとって、デジタルツールの活用は一つ間違えば、ブランド価値を毀損させる恐れもあります。伝統や職人技といったブランド価値の裏付けとなっているストーリーをコンテンツにうまく融合させていくことが、デジタルツール活用の成否のカギとなるでしょう。

 

各市場の消費者の特性・嗜好にもフォーカス

高級ブランド商品は、かつてのように欧州の一部の富裕層だけのものから、日本や中国、米国など幅広い地域で認知されるようになり、顧客層の裾野が広がっています。こうした局面に差し掛かり、高級ブランド企業は、各地の市場・消費者の特性・嗜好を十分に理解し、それをマーケティング手法に反映させることも必要になっています。

各市場の消費者の特性・嗜好を反映したマーケティング手法の一つとして、効果的と考えられるのが体験型アプローチです。

例えば、バレンシアガは、上海で開催した2025年春のファッション・ショーで、地元のレストランと協力して、小籠包の形をした招待状を用意し、実際のイベントの会食において小籠包を提供するなど、地元の食文化を取り入れました。

また、ルイ・ヴィトンは2025年6月、上海に“ザ・ルイ(The Louis)”と呼ばれる実物大のクルーズ船型の新店舗をオープンしました。ここには、ショップに加え、カフェ、展覧会スペースなどが併設され、革新性、創造性、芸術性、卓越性など、ルイ・ヴィトンの世界観を体験できる施設となっています。カフェでは、上海風料理と西洋料理を融合したメニューなども提供されます。

足元では、中国市場における高級ブランド需要の減速が懸念されていますが、高級ブランド企業各社は、中国市場は引き続き重要な市場と位置付けています。そうしたなかで、各社は現地の特性・嗜好を反映した様々なアプローチを試みつつあります。

 

高級ブランド企業をさらなる高みへ導く、伝統と新しいアプローチの融合

高級ブランド企業が提供する商品に対して世界の消費者は、依然として憧れの念を持ち、信頼を寄せています。ハイテク分野の製品とは違って、常にイノベーションや新製品を求めているわけではありません。高級ブランド企業は依然として、高い参入障壁に守られている存在であるとの見方には変わりがありません。

こうしたなかで、高級ブランド企業は、これまでの伝統と、インクルーシブ化の加速、デジタルツールの活用、各市場の消費者の嗜好・特性に合わせた施策などの新しいアプローチをうまく融合してくことで、今後も持続的な成長が期待できると考えられます。

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