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- クアトロ|市場見通しとポートフォリオの状況
● クアトロの基準価額は2025年年初来(12月12日まで)で7.3%上昇。4月には株式市場のセンチメントが急激に悪化する場面もありましたが、クアトロでは株式全般に対する配分比率を引き下げずにとどめたことで、その後の市場の反発をとらえることができました。
● 主要中央銀行による潤沢な流動性供給が行われているのが現状であり、運用チームは、資産クラス間の分散効果が期待できる好ましい運用環境が続く公算が大きいとの見方は変えていません。
株式と金が大きくプラスに寄与し、基準価額は年初来(12月12日まで)で7.3%上昇
クアトロの基準価額は2025年年初来(12月12日まで)で7.3%の上昇となっています(図表1)。株式と金が大きくプラスに寄与しました。2月半ば以降、米トランプ政権の関税政策がもたらすマイナス影響への警戒感などから、4月上旬にかけて主に株式がマイナス寄与となり、基準価額は下落基調となりました。4月には株式市場のセンチメント(市場心理)が急激に悪化する場面もありましたが、株式全般に対する配分比率を引き下げずにとどめたことで、その後の市場の反発をとらえることができました。8月以降、金の価格が大きく上昇したことも基準価額にプラスに寄与しました。
図表1:基準価額の推移
日次、期間:2013年12月12日(設定日)~2025年12月12日
※基準価額は1万口当たりで表示 ※基準価額は信託報酬等控除後
資産クラス間の分散効果が期待できる好ましい運用環境が続く公算が大きいとの運用チームの見方は変わらず
図表2は、米国株式20%および米国国債80%からなる「低リスク型分散投資ポートフォリオ」注のシミュレーションの年間騰落率の推移を示したものです(上記資産配分比率は、クアトロの低リスク特性を踏まえ、債券を多めに設定)。「低リスク型分散投資ポートフォリオ」の1920年から2025年までの106年分の年間騰落率(2025年は11月末まで)を振り返ると、2022年が百年に一度とも言える未曾有の年であったことがわかります。2022年は世界的なインフレの高進とそれに対する米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめとした主要中央銀行による急速な金融引き締めの動きがあり、市場は、大規模な金融緩和によって支えられたそれまでとは異なる状況に直面しました。そうしたなか、株式市場と債券市場が揃って大きく下落した2022年の「低リスク型分散投資ポートフォリオ」の年間騰落率は-16.4%となり、年間ベースでは大恐慌期の1931年を超える下落率となりました。クアトロにおいても、2022年は分散効果が発揮されにくい厳しい局面が続き、基準価額の年間騰落率は-10.9%となりました。
百年に一度とも言える未曾有の運用環境を経て、足元では資産クラス間の分散効果が復活しています。主要中央銀行においては、日本銀行が利上げを実施しているものの、FRBや欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行などの直近のアクションは利下げとなっています。主要中央銀行による潤沢な流動性供給が行われているのが現状であり、運用チームは、資産クラス間の分散効果が期待できる好ましい運用環境が続く公算が大きいとの見方を変えていません。 注:「低リスク型分散投資ポートフォリオ」は、資産配分比率が米国株式20%、米国国債80%となるように月次でリバランス計算したものであり、実際のファンドではありません。
2022年の運用環境に関する補足:世界的なインフレ高進の背景には複合的な要因がありました。具体的には、各国・地域の政府による強力な財政刺激策に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に起因するサプライチェーン(供給網)の混乱継続、ロシアのウクライナ侵攻による商品価格の急騰など。元々、低インフレ・低金利であったところに急激なインフレ圧力が加わり、それに対応するべく、急速な金融引き締めが行われたのが2022年でした。主要中央銀行の多くが政策金利を大きく引き上げたことで、債券市場は大きく下落し、バリュエーション(投資価値評価)の調整と先行きの景気悪化懸念から株式市場も大きく下落しました。足元のインフレ率や政策金利の水準を考慮すると、現時点においては、2022年のような未曾有の運用環境が再来する可能性は高くないと考えられます。ただし、過度な金融緩和が実施された場合や地政学的リスクが新たに顕在化した場合など、今後、インフレが再燃する可能性を完全に排除することは困難です。このため、外部環境の変化については引き続き注意深く観察していきます。
図表2:「低リスク型分散投資ポートフォリオ」のシミュレーションの年間騰落率の推移
年次、米ドルベース、期間:1920年~2025年(2025年は11月末まで)
「低リスク型分散投資ポートフォリオ」は、資産配分比率が米国株式20%、米国国債80%となるように月次でリバランス計算したものであり、実際のファンドではありません。
※米国株式:S&P500種株価指数(配当込み)、米国国債:米国10年国債 ※上記はあくまで試算であり、騰落率の算出に際しては、過去の売買実行可能性および運用管理費用や売買手数料、税金等の費用は考慮していません。 出所:ブルームバーグ、リフィニティブ an LSEG business、Robert J. Shiller, Irrational Exuberance, 2016のデータを基にピクテ・ジャパン作成
ポートフォリオの状況(2025年11月末時点)
2025年11月末時点のポートフォリオの構成比は、株式が36.3%、債券が39.7%、オルタナティブが23.4%、キャッシュ・短期金融商品等が0.5%となっています(図表3)。AI(人工知能)関連を中心とする旺盛な設備投資と、主要中央銀行による潤沢な流動性供給が支えとなり、投資家のリスク選好の動きは当面続くとみています。このため、株式などのリスク資産の組入比率は高位を維持しています。
株式については、強気のスタンスとしています。関税による米国経済への影響が当初の想定ほど深刻なものとなっていない上に、FRBの利下げなど、流動性の面からも株式市場は下支えされると思われます。地域別では、欧州や新興国など米国以外の市場への分散を進めています。また、業種別では、情報技術や金融、インフラなどを選好しています。
債券については、同資産が果たす株式に対する分散効果には引き続き期待できると考えていますが、関税による物価上昇圧力への懸念や財政拡大に対する警戒感などを踏まえ、全体として慎重なスタンスとしています。債券のなかでは新興国債券、米国の物価連動国債、投資適格社債を選好しています。
オルタナティブでは、ポートフォリオ分散の観点から市場中立型戦略、ロング・ショート型戦略および金への投資を継続しています。金については、①インフレ耐性、②地政学的リスクを背景に底堅い需要が見込まれる点、などを前向きに評価しており、中長期での強気スタンスを継続します。
図表3:2025年11月末時点のクアトロのポートフォリオ
時点:2025年11月28日
※構成比は実質比率(マザーファンドの組入比率×マザーファンドにおける当該資産の組入比率)です。マザーファンドにおける当該資産の組入比率は、各投資先ファンドを主な投資対象によって株式、債券、オルタナティブ、短期金融商品等に分類、集計しています。株式と債券の構成比には、マザーファンドの投資先ファンドであるピクテ・デルタ・ファンドの株式、債券、株式先物、債券先物、オプションプレミアムを含めて集計しています。キャッシュ・短期金融商品等には投資先ファンドで保有する現金等の比率を含みません。 ※円資産比率は円建て資産と円ヘッジの外貨建て資産の合計で、概算値です。 ※修正デュレーションは、月末時点のウェイト加重平均修正デュレーション(当ファンドに占める債券のウェイト×債券ポートフォリオの修正デュレーション)で、概算値です。 ※[デルタF]で始まる資産は、ピクテ・デルタ・ファンドを通じて投資している株式の現物、先物、オプションプレミアムおよび債券の現物、先物、オプションプレミアムです。
ポイント①先進国の緩やかな成長
米国経済は、これまでの金融引き締めが景気に対する下押し圧力となることが予想されていたなかでも想定以上に底堅く推移してきました。しかしながら、これまで景気を支えてきた消費が減速することで、今後、潜在的な成長率の水準に近づいていくものと予想しています。日本経済については、日本銀行が引き続き金融政策の正常化を進めるなか、一部で景気鈍化の兆しがみられるなど、景気が一段と拡大することは想定し難く、米国経済同様に緩やかな成長にとどまるとみています。
株式については、デジタル・コミュニケーション関連株式や世界テクノロジー株式(ETF)などの成長株に加え、相対的に景気変動に左右されにくいと考えられるスイス株式なども保有することで、安定的な運用パフォーマンスの確保を目指します(図表4 株式部分参照)。
債券については、全般に成長率低下が金利低下(債券価格は上昇)につながるとみていますが、欧米国債市場の需給悪化に警戒しつつ、デュレーションリスクをコントロールするとともに、将来的な組入比率引き上げの是非を検討していきます(図表4 債券部分参照)。
図表4:2025年11月末時点のクアトロのポートフォリオ~①先進国の緩やかな成長
時点:2025年11月28日
※構成比は実質比率(マザーファンドの組入比率×マザーファンドにおける当該資産の組入比率)です。マザーファンドにおける当該資産の組入比率は、各投資先ファンドを主な投資対象によって株式、債券、オルタナティブ、短期金融商品等に分類、集計しています。株式と債券の構成比には、マザーファンドの投資先ファンドであるピクテ・デルタ・ファンドの株式、債券、株式先物、債券先物、オプションプレミアムを含めて集計しています。キャッシュ・短期金融商品等には投資先ファンドで保有する現金等の比率を含みません。 ※円資産比率は円建て資産と円ヘッジの外貨建て資産の合計で、概算値です。 ※修正デュレーションは、月末時点のウェイト加重平均修正デュレーション(当ファンドに占める債券のウェイト×債券ポートフォリオの修正デュレーション)で、概算値です。 ※[デルタF]で始まる資産は、ピクテ・デルタ・ファンドを通じて投資している株式の現物、先物、オプションプレミアムおよび債券の現物、先物、オプションプレミアムです。
ポイント②物価の粘着性と地政学的リスク
世界的にみて、循環的なインフレ圧力が低下している一方で、構造的なインフレ圧力(地政学的な緊張の高まりによるサプライチェーンの分断に起因するものなど)は継続しています。足元では、各国の通商政策への懸念およびその影響のみならず、先の総選挙を機にドイツの緊縮的な財政が緩和される可能性も意識され、政治と財政の両面でインフレの再燃リスクが高まりやすい状態が続いていると考えています。また、昨今の国際情勢をめぐる不透明感は強く、インフレ抑制はさらに困難になりつつあると認識しています。
こうしたなか、FRBなどの主要中央銀行にとって、金融政策のかじ取りはより一層難しさを増しています。仮に、労働市場への配慮から金融引き締めを抑制することになれば、インフレ率を高止まりさせるリスクとなりうるため、注意が必要と考えています。引き続き、米国ではトランプ政権下での各種政策が物価に与える影響を注視する必要があります。
インフレ率や地政学的リスクが高まる環境下で耐性を発揮すると期待される資産のポートフォリオへの組入状況は図表5のとおりです。なかでも、「世界インフラ関連株式(ETF)」、「米国物価連動国債(ETF)」、「米国長期物価連動国債(現物)」、「金」については、スタグフレーション(景気が停滞するなかで物価上昇が続くこと)に陥った場合に相対的な強みを発揮すると期待しています。
図表5:2025年11月末時点のクアトロのポートフォリオ~②物価の粘着性と地政学的リスク
時点:2025年11月28日
※構成比は実質比率(マザーファンドの組入比率×マザーファンドにおける当該資産の組入比率)です。マザーファンドにおける当該資産の組入比率は、各投資先ファンドを主な投資対象によって株式、債券、オルタナティブ、短期金融商品等に分類、集計しています。株式と債券の構成比には、マザーファンドの投資先ファンドであるピクテ・デルタ・ファンドの株式、債券、株式先物、債券先物、オプションプレミアムを含めて集計しています。キャッシュ・短期金融商品等には投資先ファンドで保有する現金等の比率を含みません。 ※円資産比率は円建て資産と円ヘッジの外貨建て資産の合計で、概算値です。 ※修正デュレーションは、月末時点のウェイト加重平均修正デュレーション(当ファンドに占める債券のウェイト×債券ポートフォリオの修正デュレーション)で、概算値です。 ※[デルタF]で始まる資産は、ピクテ・デルタ・ファンドを通じて投資している株式の現物、先物、オプションプレミアムおよび債券の現物、先物、オプションプレミアムです。
ポイント③新興国の早期リカバリー期待
今後のポートフォリオ戦略において、引き続き地域分散がもたらす分散効果に注目しています。米国と比較して、多くの新興国は早期に金融緩和に軸足を移しています。中国については、債務削減圧力と折り合いをつけつつも、大規模な景気刺激策を展開し始めており、これが新興国経済全般に恩恵をもたらすものと考えています。こうしたなか、新興国の景気回復は、先進国と比較して相対的に早いと想定しています。
新興国資産全般については、確信度がさらに高まったタイミングで投資比率の引き上げを検討していきます。中国については、金融緩和の効果が顕在化するまでに時間を要するとみています。引き続き、中国は政治面・経済面における構造的な課題(米国との対立や不動産セクターの信用不安など)に粘り強く取り組む必要があり、また中央銀行である中国人民銀行は今後も緩和的な政策スタンスを強いられるものと考えています。中国のさらなる金融緩和および財政刺激策によって、国内景気が回復基調に向かい、その効果がその他新興国のさらなる成長をけん引するシナリオを過小評価するべきではないと考えています。
上記見解のポートフォリオへの反映状況は図表6のとおりです。
図表6:2025年11月末時点のクアトロのポートフォリオ~③新興国の早期リカバリー期待
時点:2025年11月28日
※構成比は実質比率(マザーファンドの組入比率×マザーファンドにおける当該資産の組入比率)です。マザーファンドにおける当該資産の組入比率は、各投資先ファンドを主な投資対象によって株式、債券、オルタナティブ、短期金融商品等に分類、集計しています。株式と債券の構成比には、マザーファンドの投資先ファンドであるピクテ・デルタ・ファンドの株式、債券、株式先物、債券先物、オプションプレミアムを含めて集計しています。キャッシュ・短期金融商品等には投資先ファンドで保有する現金等の比率を含みません。 ※円資産比率は円建て資産と円ヘッジの外貨建て資産の合計で、概算値です。 ※修正デュレーションは、月末時点のウェイト加重平均修正デュレーション(当ファンドに占める債券のウェイト×債券ポートフォリオの修正デュレーション)で、概算値です。 ※[デルタF]で始まる資産は、ピクテ・デルタ・ファンドを通じて投資している株式の現物、先物、オプションプレミアムおよび債券の現物、先物、オプションプレミアムです。
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