ブースト・アップ

シニア・フェロー市川眞一が政治や経済情勢を独自の視点で分析します。

7月23日

閉塞感強まる中国経済

米国で共和党が全国大会を開催した7月15~18日、中国では経済戦略を策定する共産党第20期中央委員会第3回全体会合(3中全会)が開催された。通例だと昨秋に行われていたはずなのだが、秦剛外相、李尚福国防相の更迭に加え、不動産最大手の碧桂園の経営危機が表面化するなど、目先の問題に追われていたことで、先送りされたのではないか。国家統計局が発表した今年4-6月期の実質成長率は前年同期比4.7%であり、市場予想の5.1%を下回った。国営企業に加え、共産党、地方政府、人民解放軍などの関連企業が複雑に絡み合い、産業の新陳代謝が遅れているのだろう。また、固定資本投資主導の経済から、消費主導型への構造転換も進んでいない。さらに、人民元の下落を懸念してか、人民銀行が政策金利の引き下げを躊躇い、有効な経済対策が打てていないようだ。中国経済の停滞は今後も続くと見られ、それは習近平政権を不安定化させる可能性がある。世界経済にとって、当面、中国は不透明要因になるのではないか。